2017年~2018年の各都道府県の地域別最低賃金が決定し、来月中に順次導入されていきますが、そのニュースを見て、「あ!私の時給って最低賃金より低いやん!?店長に言って、時給上げてもらわな!」と考え、話したところ、「最低賃金の事はもちろん知ってるけど、あれ、パートさんは適用外やで。」とかなんとか言われて、すんなり交わされてしまったなんて方も出てくるかと思います。
それでは、最低賃金について、ちょっと詳しく解説していきたいと思うので、しっかり理論武装してください(^_^)/~
ちなみに、最低賃金(地域別)によって定められた金額を支払わない雇用主の方は、50万円以下の罰金刑に処される可能性がありますよ~(最賃法40条)
●最新情報はコチラ
>>2018~2019最低賃金の上げ幅が過去最高!都道府県別一覧表
目次
最低賃金は誰が対象?パート・アルバイト・派遣・嘱託・試用期間・内職・障害者は?
「あなたは最低賃金の対象外です!」って言われたらどうしましょう。
ホントに対象外なんでしょうか?
ここでは、いったい誰が最低賃金の対象となって誰が対象にならないのか、きっちり説明していきたいと思います。
最低賃金法上の労働者
最低賃金については、〝最低賃金法〟という法律でいろいろな事が定められています。
この最低賃金法の第1条に「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低限を保障することにより、労働条件の改善を図り・・・・」と法律の目的が記載されています。
「賃金の低廉な労働者」、つまり「給料が安い労働者」ってことですね。
では、ここでいう〝労働者〟とは誰のことなのかといいますと、第2条に「労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業所又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。」と書いています。
まだ、良くわからないですね。
この最低賃金法でいう労働者は誰なのかを調べるには、労働基準法も調べなければいけません。ま、法律ってこんな感じなんです(・з・)ノ
労基法の9条を見ると「この法律で『労働者』とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」
となってます。
つまり、〝全ての職業〟が対象で、〝雇われて賃金を支払われている人全員〟が対象ということです。
ただ、最賃法に「同居の親族のみを使用する事業所又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。」とあります。
これは、家族で事業をしていて、従業員は奥さんと息子だけとかって場合は、最低賃金は適用されませんよってことです。
家事使用人とは、まぁイメージとしては、お屋敷で働いてるお手伝いさんみたいな感じです。
そこ専属で、その家に仕えていないと家事使用人にはならないと思います。
なので、どこかの会社に雇われてて、家事代行や、介護サービス、ベビーシッターに行くなんてのは家事使用人には全くあたりません。
まぁ、なので殆ど全ての雇われて給料もらっている方は、対象ってことです。
パートでも、アルバイトでも、嘱託でも、派遣社員でも、契約社員でも、正社員でも、み~んなまとめて対象となります。
ちなみに、派遣の場合は、派遣先の最低賃金の対象となります。
最低賃金の例外・・減額の特例とは?
先ほど、お給料を貰っているのならみんながみんな対象的なことを言ったところですが、 法律には何でも例外があります 。
この最低賃金についても例外なく例外があるのです。
この例外を〝減額の特例〟と言います。
特例対象者は以下の5パターンがあります。
① 障害者で著しく労働能力が低い者
② 試用期間中の者
③ 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受ける者のうち省令で定める者
④ 軽易な業務に従事する者
⑤ 断続的労働に従事する者
※出来るだけ簡易に言い表していいます
最低賃金以下に減額するのであれば、〝都道府県労働局長の許可〟を受ける必要があります。
減額率も一定ではありませんが、使用期間という理由で減額する場合、その減額率は20%で、また、ここで言う〝試用期間〟とは、労基法上の〝試みの使用期間〟のことで、その期間は入社したから14日間だけです。
内職の場合
内職の工賃は時給換算すると、もの凄く安くて最低賃金の時給額を下回ることがほとんどではないかと思います。
しかし内職は、委託者(メーカーや問屋等)から部品、附属品、原材料などの提供を受け、製造や加工などを行い、物品を納入して工賃を受け取るという、 業務委託の形が取られているので、その工賃は賃金ではありません 。
しかし〝委託〟といっても、その実質は〝雇用〟に類似しています。
内職は、法律上は〝家内労働〟と呼び、この家内動労を行う家内労働者は〝家内労働法〟という最低賃金法とはまた別の法律で一応、保護されてはいます。
労働者は、最低賃金法や労働基準法などいろんな労働法で守られているのですが、この労働者の枠に入るか入らないかが問題となる雇用形態は他の業種にもいろいろあります。
最低賃金の計算方法は?手当は含まれるの?
対象となる人がある程度はっきり分かったところで、次は、時給以外の人はどのように計算すればいいのか、また、どのような種類の賃金が最低賃金に影響するのかを見ていきましょう。
時給以外の給料の最低賃金の計算方法
ところで最低賃金は時給で定められていますが、日給だったり、月給だったり、または歩合だったりする場合はどう見ればいいのでしょうか?
例)日給8,000円で8時間労働 8,000円÷8時間=時給1,000円
ただ、日によって所定労働時間が違う場合は、1週間における1日の平均所定労働時間数で割る。
※所定労働時間とは労働協約、労働契約、就業規則などで定められた始業時から終業時までの時間から休憩時間を除いた時間こと。
週によって所定労働時間が違う場合は、4週間における1週の平均所定労働時間で割る。
月によって所定労働時間が違う場合は、1年間における1ヶ月平均所定労働時間数で割る。
ところで請負、業務委託などの形態であれば個人事業主となりますので、当然ですが最低賃金など関係ありません。
しかし実態は雇用、つまり労働者であるにもかかわらず業務委託として働いている方もいます。
雇われて働いているつもりだったけど「業務委託だから最低賃金は関係ないよ」とか言われた方はコチラを熟読ください。
↓ ↓ ↓ ↓
業務委託と雇用の違い|デメリットとメリット|こんな業種に多いよ!
最低賃金の対象になる賃金と対象にならない賃金
賃金といってもいろんな賃金があります。
皆さん、一番疑問に思うところは 手当ては最低賃金の計算に含まれるのかどうか といったことではないでしょうか?
それでは、どのような賃金が最低賃金の計算の対象から外れるのかをご紹介していきます。
①臨時に支払われる賃金
例えば〝大入〟だとか、結婚手当だとか、社長賞だとかそんな感じでしょうか。
②1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
つまり、ボーナス・賞与の類いのものです。それが年1回でも2回でも3回でも、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金に違いはありません。
③所定労働時間を越える時間の労働に対して支払われる賃金
つまり、時間外労働による割増賃金、もっと平たく言えば残業手当です。
④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
これは、休日労働による割増賃金、休日手当のことです。
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働の労働時間の賃金の計算額を超える部分
深夜労働の割増賃金の、割増部分のことです。
⑥その最低賃金において導入しないことを定める賃金
通勤手当 皆勤手当 精勤手当 家族手当
地域別最低賃金と特定最低賃金(産業別最低賃金)
最低賃金は、毎年、最低賃金審議会という所の調査審議に基づいて、地域ごとに必ず定めます。
これを〝地域別最低賃金〟といい、これに上乗せする形で設定されるものに〝特定最低賃金〟というものがあります。
特定最低賃金とは、2007年の最低賃金法改正(2008円7月施行)により規定されたもので、現在あるのは、特定の産業ごとに設定されているものです。
これは、従来〝産業別最低賃金〟と呼ばれていたもので、その方が馴染みのある方も多いかもしれません。
これは、その産業ごとの年齢、業種、業務などの条件で労働者の一部を除外した基幹的労働者にだけ適用され、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金が必要と認められた場合に設定されるもので、地域別最低賃金を上回るものでないとダメなのですが(最賃法16条)、実際は、地域別最低賃金の方が上回っている場合があります。
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される方は、そのうち 高い方の最低賃金額が適用 されることになります。
特定最低賃金の全国一覧を確認したい方はコチラ
↓ ↓ ↓ ↓
>>特定最低賃金と地域別最低賃金の比較表 全国一覧
コメント
山口県で厚生年金、社会保険料を引かれて手取りが12万円って事はあるのですか?
勤務時間、勤務日数は聞いてないので、分からないんですけど?
by 匿名 2016-04-21
>匿名さん
元の金額次第ですけど、もちろんありますよ。
聞いてみるってことは、これから働こうとしているってことですかね。
大事なところなんで、しっかり聞いときましょう(^^)
by sanmon 2016-04-22