平成29年1月1日からセルフメディェーション税制がはじまりました。
どのような制度なのかはコチラをご覧ください。
⇒ 市販薬のレシート捨てないで!セルフメディケーション税制?対象は?
ここでは、セルフメディケーション税制で税金を減らす、あるいは還付するための手続や医療費控除との兼ね合い、そして具体的にいくら税金が戻ってくるのかなどについて書いていきます。
目次
手続どうする?セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制の手続きはその年の1月1日から12月31日の1年単位で行います。
ちなみに通販で購入する際は、支払日基準で見て、金額は実際に支払った税込金額です。
普段気にしておくことは、ドラッグストアや薬局で市販薬を購入したときのレシートを捨てずに取っておくことくらいです。
セルフメディケーション税制とは直接関係ありませんが、病院の診療費や病院で処方したもらった薬を薬局で購入した分の領収書も置いておきましょう。
あとは、一定の取り組みとして健康診断を受けておくことですね。
会社員をしていて勤務先の健康診断があるならそれでOKです!
詳しくはコチラを読んでください。
⇒ 市販薬のレシート捨てないで!セルフメディケーション税制?対象は?
話を戻します。
薬局で買う市販薬全てが対象となるわけではありません。
対象となるスイッチOTC薬の場合、パッケージの右上に下画像の識別マークが印刷またはシール添付されているはずです。
ただ、このマーク表示に法的義務は無いので、生産の都合等で表示されていない対象商品もあるかもしれません。
しかし、その商品がセルフメディケーション税制の対象商品なら、 対象商品であることが分かるようにレシートや領収書に明示 しなければならないことになっています。
さて、それでは1年が経過して実際に手続きをするときの話です。
手続とは確定申告をすることです。
自営をしている人とかなら、毎年している確定申告いるか問題ないでしょうが、そうでないならちょっとハードル高く感じるかもしれませんね。
けど、国税庁のホームページにある〝確定申告書作成コーナー〟で、案内に沿ってやれば、思っているより簡単に作成出来てしまいます。
確定申告書作成コーナーは〝確定申告〟で検索すれば、まずトップ近くに出てきますよ。
最終的に提出するのは以下の4点です。
2 購入した市販薬のレシート等(原本)
※紛失してしまった場合は、購入先で再発行してもらうしかありません。どう対応するかは購入先次第です。
3 購入費の明細
※まだ確定していませんが、おそらく必要になると思います。詳細が決まれば追記します。
4 健康診断等を受けた証明として、結果通知表または領収書
※氏名、行った年、保険者(事業者もしくは市町村の名称)または医療機関の名称が記載されているもの。
以上が揃えば、管轄の税務署に持っていくか郵送で送ればOKです。
電子申請も出来るでしょう。
郵送の場合は第一種郵便や信書便として送る必要があり、ゆうパックやレターパックはアウトです。
税務署の受け取りの証拠が残る簡易書留で送るのがベストでしょう。
確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日(15日が土日の場合は翌月曜)です。
郵送の場合は提出期限の消印日で見ます。
これで自営の人なら税金が減らせますし、会社員の人なら税金が戻ってきますよ!
セルフメディケーション税制の 最初の手続は平成30年2月16日から です。
確定申告は去年の収入に対する申告なので、平成29年に制度自体スタートしていますが、手続きは今年、平成30年での確定申告が最初となるわけです。
医療費控除かセルフメディケーション税制か
さて、セルフメディケーション税制の手続きの仕方は分かりましたが、問題が一つあります。
医療費控除って聞いたことありますか?
年間10万円を超える医療費を支払った場合に所得控除を受けることが出来る制度です。
実はこの 医療費控除も市販薬は対象 なんですよ。
詳しくはコチラをご覧ください。
⇒ 医療費控除ライン|対象と計算方法と住民税|領収書はコピーでOK?
医療費控除もセルフメディケーション税制も、市販薬の購入費を所得控除にあてることが出来ます。
しかし、 両方の制度を併用することは出来ません 。
使えるのは一つだけです。
それではどう選べば良いのでしょうか?
答えは両方計算してみるしかありません。
医療費控除が使える状態であれば医療費控除、医療費控除が使えないならセルフメディケーション税制という選択が一般的になってくるでしょうが、どちらも使えるけどセルフメディケーション税制の方が、減額(還付)が多くなるパターンもあります。
もちろんどちらも使えない状況もあります。
簡単にまとめておきますね。
医療費、病院への交通費、薬局で購入の医薬品、介護施設などの入所費、整骨院等の施術費他、医療医控除対象となる費用が10万円(総所得額が200万円未満の場合はその5%)を超えている場合。
● セルフメディケーション税制が使えるパターン
セルフメディケーション税制対象のスイッチOTC薬の購入費用が12,000円を超えている場合。
● どちらも使えないパターン
医療費控除の対象となる費用が10万円(総所得額が200万円未満の場合はその5%)以下、かつセルフメディケーションン税制の対象となるスイッチOTC薬の購入費用が12,000円以下の場合。
● 医療費控除とセルフメディケーション税制の選択
医療費控除で控除できる金額の上限は200万円、一方セルフメディケーション税制で控除できる金額の上限は88,000円です。
どちらも使える状況なら医療費控除を選択するパターンの方が多いと思いますが、医療費控除対象の費用が10万円台で、大半がドラッグストア等でのスイッチOTC医薬品の購入費であれば、セルフメディケーション税制を選択する方が、効果が大きくなることがあるでしょう。
セルフメディケーション税制で税金はいくら戻ってくるの?
セルフメディケーションン税制を活用することで、所得税がいくら減額されるか(還付されるか)を正確に把握するには、この税制を使わない場合と使った場合にそれぞぞれ税金がいくらになるかを算定する必要があります。
所得税は課税所得に一定の税率を掛けて算出します。
課税所得は年収とは全然違うので、まずは課税所得の金額を出さないといけません。
自営業者やフリーランスの方であれば、収入金額から経費を差し引いた所得金額を出し、そこから社会保険料控除などの所得から差し引かれる金額を差し引いて課税所得金額を出します。
会社員などの給与所得者であれば、源泉徴収票に記載されている給与所得控除後の金額から所得控除の額の合計額を引けば課税所得金額になります。
この〝課税所得金額〟に〝税率〟を掛けて所得税をはじき出します。
セルフメディケーションン税制を適用する場合は自営なら〝所得から差し引かれる金額〟にセルフメディケーションン税制の適用額を加え、給与所得者であれば〝所得控除額の合計〟にセルフメディケーションン減税の適用額を加えて同じ計算をすれば良いわけです。
もっと簡単に計算しようと思えば、 税制を使わない場合だけ計算し、そこで出てきた課税所得金額に応じた税率にセルフメディケーションン税制の適用金額を掛けてやれば減税額ははじき出されます 。
ただし、所得税の税率が変わるギリギリのラインであれば多少の誤差が出てきます。
所得税の税率は下の表のとおりです。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円を超え 4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
次に住民税です。
住民税はお住まいの自治体によって多少税率が違う場合がありますが、基本は課税所得に一律10%の税率を掛けます。
正確な額が知りたければお住まいの自治体のホームページなどで確認出来ると思います。
とにかく、所得がいくらであろうと税率は一律なので、セルフメディケーションン税制の適用額に税率を掛けるだけです。
最後に一つ例を出して、セルフメディケーションン税制による減税額を計算してみます。
①所得税
課税所得金額400万円の税率は20%
(60,000円-12,000円)×20%=9,600円
②住民税
(60,000円-12,000円)×10%=4,800円
③合 計
① + ② = 14,400円
6万円の薬を45,600円ってことは24%割引きになります。
ちなみに所得税の最高税率は現在45%、住民税と合わせると55%になりますね。
まぁ、課税所得が4,000万円以上という高収入者ですが、そんな人たちが年間10万円以上の対象商品を購入すると減税額は48,400円になります。
計算式は88,000円 ×(45%+10%)です。