注目されていた夫婦別姓訴訟の最高裁判決が出ましたね。
判決はどうなったのか、何が問題なのか、世界的にはどうなのか、夫ではなく妻の姓を選ぶ人の割合の話などお話ししていきます。
目次
最高裁での夫婦別姓訴訟は女性判事全員が違憲と判断
最高裁判決の概要
民法には、明治時代から100年以上続く〝夫婦は同じ名字にする〟という別姓を認めない規定があるのですが、東京などの男女5人が「婚姻の自由などを保障した憲法に違反する」と、国に賠償を求める裁判を起こしていました。
で、最高裁までもつれ込んでいたのですが、16日その判決が出たんです。
明治時代から続く夫婦別姓を認めない民法の規定について、最高裁判所大法廷は「名字が改められることで、アイデンティティが失われるという見方もあるが、旧姓の通称使用で緩和されており、憲法に違反しない」という初めての判断を示しました。
そのうえで、「夫婦別姓については国会で論じられるべきである」と言っています。
アイデンディティーとは、辞書で引くと〝自己同一性〟とあるかと思いますが、分かりにくいですよね。
日本語訳が難しい言葉ですが、簡単に言うと〝自分が自分である〟みたいな感じでしょうか。
女性裁判官と裁判官の年齢
最高裁判所の裁判官は、最高裁判所長官と、最高裁判所判事14名の15名で構成されています。
そして、夫婦同姓は合憲(憲法的にべっちょない)であるとしたのが10名、違憲(憲法に違反する)としたのが5名でした。
そして、この15人のうち女性裁判官は現在3人、そして5名の違憲とした裁判官のうち3人は女性でした。
つまり、女性判事は100%の人が違憲と判断したんですね。
まぁ、私的にはこの裁判どっちゃでもいいんですけど、憲法に反するのかどうかを、どう見てどう判断しているのか知りませんが、世間的にはこの問題、男性の方が問題ないって思っている人が多いだろうし、年輩者ほど問題ないって思っている人が多いと思います。
つまり、その辺のおっさんら12人とおばちゃん3人を無作為にピックアップして、これどう思う?って聞いても同じような結果が出るんじゃないかと思うんです。 そう、ふと思っただけです( ̄。 ̄;)
最高裁判所の裁判官がもっと女性が多かったり、もっと年齢層が若ければまた違った判断となったんでしょうね。
ってことは、今回は合憲となりましたが、いずれ違憲判決が出るか、判決にもあるように国会の方で議論され、法改正されるかもしれません。
もし、判決文をじっくり読みたいという方がいましたらコチラをどうぞ
⇒ 夫婦別姓訴訟 最高裁判決文
夫婦同姓だと何が問題?
夫婦別姓への気運が高まってきた背景には、女性の社会進出が進み、名字が変わることで仕事上のキャリアが途切れてしまうといった問題があります。
従って、仕事の際には旧姓の使用を認める職場が現在ではとても多くなっているのですが、だからこそ夫婦別姓にする必要はないという意見もあります。
しかし、仕事上の旧姓の使用では解決しないという意見もあります。
旧姓の使用が広がってもさまざまな不都合があるという意見です。
例えば、身分証として使われる運転免許証や健康保険証は、戸籍名しか認められませんので、身分証の提示が必要な銀行の口座の名義は結婚後の新しい名字となり、仕事で旧姓を使用していると振り込みなどを巡ってトラブルになる場合もあるようです。
他にも不都合はあるようで、婚姻届を出さないいわゆる〝事実婚〟を選択する人たちもいます。
しかし、事実婚だと法律上の夫婦ではないため、所得税や相続税の控除が適用されなかったり、配偶者の生命保険の受取人として認められないケースもあり、こうしたデメリットがある点も議論となっていました。
夫婦別姓の義務があるのは日本だけ?
アメリカやイギリスなどの欧米を中心に、多くの国では夫婦が同じ名字にするか別々の名字にするかを選ぶことができるんです(*゜Д゜)
しかも夫婦の一方が結婚前の名字を併記したり、夫の名字と妻の名字を合体させたりする〝複合姓〟を認めている国も少なくないということです。
これは、なかなか画期的ですね(^^)
アイデンディティーどうのとは真逆を行く風潮です。
逆に夫婦別姓を認めない国ですが、ドイツでは夫婦のどちらかの名字を選び、どちらか決まらない場合は、夫の名字になる規定だったようですが、女性差別だとして1990年代に見直されました。
妻が夫の名字にするよう義務づけられていたタイでは、2005年に法律が改正され、別姓が認められたというように、元々、別姓が認められていなかった国でも選択の自由を認める動きが広がっています。
それでは、現在でも夫婦同姓を義務付けている国はどこかというと、日本政府がいうには、日本以外には確認できていないとのことです。
つまり、〝日本だけ〟ってことですね。
しかし、世の中には夫の姓と同じになることに喜びを感じる女性も普通にいます。
まぁ、世の中いろんな考えの人がいるので、別に世界に右へならえする必要はないと思いますが、つまりは好きなようにしたらえーんじゃないの?と思うのですが、どうでしょうか?
子供がどっちの姓を名乗るか!とか、また問題になるんですかね。
妻の姓を選ぶ割合は?
夫婦同姓は民法750条で定められています。
条文は「 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。 」
〝夫又は妻の氏を称する〟
つまり妻が夫の姓と同じにするだけではなく、夫が妻の姓になってもいいわけです。
いわゆる〝お婿さん〟ってやつです。
しかし、結婚した夫婦の実に95%以上が夫の姓を選んでいます。
まぁ、これは感覚的にもそうですね。
お婿さん、余りいないですもんね。
けど、意外に思ったのは、この傾向は厚生労働省が調査を始めた約60年前から一貫して変わっていないという事実です。
時代の変化とともに、妻の姓になる夫が増えているのかと思いきや、58年前の昭和32年で妻の姓を選んだのは全体の4%でした。
この傾向は一貫して変わらず、20年前では妻の姓を選んだ夫婦は3%、そして去年は4%でした。
昔からお婿さんはいますし、世間的にはそれほど元の姓を名乗りたい女性は多くないのか、それともホントは元の姓で行きたいけれど、普通は夫の姓を名乗るし・・・って心理もあるのかもしれませんね。
コメント
戸籍廃止が最終目的ですからね。
戸籍があると不都合な輩がいるのでしょうな。
by 匿名 2015-12-23
>匿名さん
そうなんですか?
そういや、夫婦別姓OKになったら戸籍はどうなるのかって問題は出できますね。
いや、それとも【名】のとこにフルネームを書いたら解決なのかな?
by sanmon 2015-12-23
>>戸籍廃止が最終目的ですからね
何の根拠も無い話ですな。相手にしない方がいいですよ。
戸籍の正本も、今や電子管理です。
データベースとして考えれば、婚姻する女性(若しくは男性)の姓を書き換えるよりも、二者のデータを婚姻によって紐付けするだけ(夫婦別姓)の方が、管理方法としては優れている。
まさか「同じ姓の人間ならば全て夫婦とする」などという絶対的判断が働く訳でもなし。
姓を統一する合理的理由を説明できる人を、自分は一度も見た事が無いですな。
ちなみに、口座に直接振り込まれるキャッシュバック申請は、姓名完全一致が必須条件の会社が多い。
旧姓の内に手続きを済ませないと、後々面倒なので注意が必要です。
by 森羅 2016-01-24
夫婦別姓になったとして、生まれてくる子の姓をどうするか、きちんと法定しておかないと片手落ちになる。
最高裁は、夫婦別姓がいけないといったわけではなく、夫婦別姓を採用することによって、当然問題になる子の姓についての取り決め方を同時に定める必要があるものの、これは立法機関の専権事項であるので、必要があって立法機関に委ねたと思われます。
by michiru 2016-02-26