改正労働者派遣法が成立しましたね。
この先、派遣社員はどうなっていくのでしょうか。
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改正労働者派遣法が成立で派遣期間制限が撤廃!
企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限を事実上撤廃する改正労働者派遣法が、今日、平成27年9月11日(金)に成立しました。
改正労働者派遣法は民主党などの野党が「生涯派遣が続く」と反発し、過去2回にわたって廃案になっていたものです。
現行の労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)では、企業が同じ職場で派遣社員を受け入れる期間は原則1年以内、最長で3年と定められているのですが、例外として、期間期間の無い〝専門28業務〟があります。
これが、改正労働者派遣法では、 専門的業務の28の業務と自由化業務と呼ばれる28業務以外の業務区分を撤廃 し、派遣先企業が労働組合の意見を聞いた上で、3年ごとに人を入れ替えるのであれば、派遣労働者を使い続けられることになりました。
つまり、 3年ごとに人を入れ替えれば同じ職場に何年でも派遣できるように なるってことなんです。
これによって、派遣期間終了による〝雇い止め〟がますます増えるようにも捉えられるのですが、改正労働者派遣法では、〝派遣労働者の雇用の安定を図るため〟として、派遣会社に対し、同じ職場で3年勤務した派遣労働者の直接雇用を派遣先に依頼したり、新しい派遣先を紹介したりする措置を義務づけました。
しかし、派遣先の 直接雇用の依頼に応じる義務はない ので、意味がありません。
現行派遣法の期間制限が無い専門28業務とは?
もう、無くなってしまう業務区分ですが、いったい専門的業務と言われる28の業務とはどんなものがあったのか、参考までに見てみましょう。
28業務は大きく2つにわかれています。
1つは30日以内の短期派遣が可能な18業務、1つは短期派遣禁止の10業務です。
2 機械設計
3 機械操作
4 通訳、翻訳、速記
5 秘書
6 ファイリング
7 調査
8 財務
9 貿易
10 デモンストレーション
11 添乗
12 受付・案内
13 研究開発
14 事業の実施体制の企画、立案
15 書籍等の制作・編集
16 広告デザイン
17 OAインストラクション
18 セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
2 放送番組等の制作
3 建築物清掃
4 建築設備運転
5 駐車場管理
6 インテリアコーディネーター
7 アナウンサー
8 テレマーケティング
9 放送番組等における大道具・小道具
10 水道施設等の設備運転
ちなみに、平成24年の労働者派遣法改正前は28業務ではなく26業務でした。
平成24年の改正で、〝受付・案内、駐車場管理〟が、短期可能な〝受付・案内〟と短期禁止の〝駐車場管理〟に分かれ、新たに〝水道施設等の設備運転〟が加わったことで28業務となったのでした。
この28業務の選定は、何をもとにどのように決められたのかは私にはさっぱり分かりませんし、調べる気もないのですが、はっきり言って、この業務区分が分かり難いですよね~。
ファイリング? デモンストレーション? 調査? 具体的にどんな仕事?
ま、それらが、具体的にどんな仕事なのか、例示はされてるんですけどね。
分かりにくいですし、業務による区分の撤廃はOKなんじゃないでしょうか・・・・。
ちなみに、以下の業務はそもそも派遣禁止です。
● 建設業務
● 警備業務
● 医療関係業務
● 弁護士等の士業務
改正労働者派遣法は誰のため?
改正派遣法は、〝多様な働き方の実現をめざす〟という安倍政権の成長戦略の一環であり、企業が派遣労働者を受け入れやすくするのが狙いとのことです。
しかし、もし派遣労働者に正社員の仕事をどんどんさせて行くのであれば、給与面などの待遇を正社員と同等にしていくべきです。
それが出来ないのであれば、企業の使い勝手を良くするための改正になるのでしょう。