安保関連法制とは何かを分かりやすく|違憲?憲法9条?|デモ

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2015年9月19日(土)夜中の2時20分、3ヶ月を超える国会審議の末、遂に安全保障関連法制が成立しました。

目次

安保関連法制とは何かを分かりやすく

成立した安全保障関連法制は、自衛隊の活動が飛躍的に拡大されるものですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。
簡単に見ていきましょう。

1つの新しい法律と10の改正法

いろんな略され方をしていますが、安保関連法制とは結局何なのでしょうか。
〝法制〟というのは、一定の法体系に属する法律や諸制度のようなものです。
そう、つまり一つの法律ではないんです。

この度、法案が可決され成立しましたが、それは1つの新しい法律と10の改正法からなります。
それでは、どのようなものなのか1つ1つを簡単に。

● 新法

国際平和支援法 
海外で自衛隊が他国軍を後方支援する法律。
武力行使は出来ないことになっている。

● 改正法

自衛隊法
外国にいる日本人の救出やアメリカの艦隊を守ることが可能に。
武器の使用基準は緩和。
上官に藩校した場合の処罰規定が追加。
国際平和協力法(PKO協定法)
PKO以外にも自衛隊による海外での復興支援活動が可能に。
治安維持や駆け付け警護など任務拡大、更に武器使用の緩和。
〝PKO〟とは国際連合平和維持活動のこと。
重要影響事態安全確保法
周辺事態安全確保法から変更。
日本のために活動するアメリカ軍や他国軍へ弾薬提供や兵士輸送などの後方支援が出来るように。
地域的には地球規模の活動が可能に。
船舶検査活動法
日本周辺以外での船舶検査が可能に。
武力攻撃事態対処方
集団的自衛権の行使要件を明記。
〝集団的自衛権〟とは、同盟国などが攻撃されたとき、自国への攻撃と見なし、反撃できる権利。つまり仲間の国が攻撃されたときに、一緒に反撃することが出来るということ。
米軍等行動関連措置法
米軍行動関連措置法から変更。
アメリカ軍だけだった支援対象を拡大された。
特定公共施設利用法
アメリカ軍以外でも飛行場や港湾などの利用が可能に。
海上輸送規制法
外国の武器などの海上輸送が実施可能に。
捕虜取扱い法
捕虜等の取扱について、存立危機事態での対応を追加。
〝存立危機事態〟とは、集団的自衛権を使う際の前提になる3条件の1つで、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義されている。
国家安全保障会議設置法
存立危機事態や重要影響事態の認定など審議事項を追加。

上記のような法律の制定・改定が決定したわけですが、ホント大まかに一言で言うと、今まで憲法解釈によって不可能だった集団的自衛権の行使が可能になり、日本が直接攻撃を受けていなくても他国が攻撃されていて、それが日本の存立を脅かす明白な危険がある存立危機事態と認められれば、自衛隊が海外で武力行使出来るようになるということです。

どうして安保法制の改正が必要なのか

「日本を取り巻く安全保障環境が変化し、一層厳しさを増したため」と安倍晋三首相は説明しています。

国内外から、「中国の脅威に備えないと、とんでもないことになる」という指摘も出ています。
また、1991年の湾岸戦争で、日本はアメリカなどに約130億ドルの財政支援をしたものの、自衛隊を一切派遣しなかったことからあまり評価されなかった事も契機となっています。
以後、日本はアメリカなどの求めに応じる形で、1992年からの国連のPKO活動を皮切りに、2003年からのイラクへの人道支援など、自衛隊の海外派遣を徐々に拡大してきました。
外務省の中には「外交のツールとして自衛隊を使いたい」という悲願もあるとされ、2014年に歴代内閣の憲法解釈を変更する形で、これまで禁じてきた集団的自衛権の行使を容認し、2015年にアメリカを訪問した安倍首相は、オバマ大統領に、関連法案の夏までの成立を約束したのでした。
ま、秋になりましたが・・・。

一言でざっくり言うと、対外的に〝自分の手も汚すアピール〟と、〝自分を自分で守る力を持つ〟といったところでしょうか。

はっきりいって私には、これが良いのか悪いのか分かりません。
ただ、憲法解釈を変えてまで成立させるには、安倍内閣はもっと筋の通った、説得力のある説明が必要であった事は間違いないのではないでしょうか。

何がどう違憲なの?憲法9条って?

〝憲法〟とは国家の根底となる、一番上に位置する法律、つまり最高法規です。
〝違憲〟とはこの憲法に違反することです。

集団的自衛権などの話になると必ず出てくるのが憲法9条なのですが、その条文を読んだことはありますか?
短い条文ですので、全文乗せておきます。

【第二章 戦争の放棄】
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

以上のように第9条だけで、1つの章となっています。

ここには、 〝戦争の放棄〟〝戦力の不保持〟〝交戦権の否認〟 の3つのことが規定されています。
そして、安保法制の目玉でもある集団的自衛権の行使は、戦争をしてるし、戦力持ってるし、交戦権を持ってる状態になると思います。

しかし、憲法もそうですし法律っていうものは、つまりは解釈次第なんですね。
同じ内容のことでも、捉え方によってどうとでも出来てしまうんです。
憲法の解釈は幾らでもあり、憲法学者なんて人達もいますが、この解釈が正しいなんて無いんですよね。
けど、 素直に憲法9条の条文を読めば、自衛隊があること事態がもう憲法違反 なんですけど・・・。

ややこしいですし、分かり難いですから、いっその事、憲法を変える方向で行けば?って思います。
だったら〝国民投票〟をして過半数の票がいるから、直接、民意を問えるので。

国会前で大きなデモがあったけど・・・

国会前での安保関連法案に対する反対のデモ活動は、結構ニュースでも取り上げられていましたね。
シュプレヒコール(※)をあげているところなどが繰り返し流されていました。
日本のデモとしては、かなり参加人数も多く、国会前だけでなく全国各地で行われていました。
※詩や台詞(せりふ)を合唱の形式で朗誦(ろうしょう)する方法。転じて、集団デモなどでスローガンを一斉に叫ぶこと。その唱和。

その人数が主催者発表で12万人だったのが警察発表では3万3千人だったりと、大きな開きがあることで話題になったりした日もありましたが、多いと言っても、何かをひっくり返すほどの規模ではないようです。

例えば、日本の最大級のデモは60年安保闘争のときですが、このときで主催者発表30万人、警察発表13万人だったそうです。
これは、国家レベルで大きな爪痕は残しましたが、デモの目的が成功した訳ではありません。

海外に目を向けると、一番有名なのが〝ベルリンの壁〟の崩壊で、発端は、旧東ドイツ政府の経済政策失敗などを原因とする100万人規模のデモでした。
ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツ統合の引き金となったのですから、デモとしては成功したということでしょう。

あとは、中国の天安門事件が50~100万人規模だったようです。
これは、国を動かすまでには至りませんでしたが、その後の政治運営に大きな影響を与えました。

しかし、こういったデモ活動、あまり民放のニュースで取り上げられる事が少ないのですが、最近増えてきています。
そして、今回のデモも若い人達が結構目立ちました。
今回のデモがどうであったかは置いておいても、若い人が政治に関心を持ち、デモ活動に参加することは悪くないと思います。
ネット上では、デモ参加者に「もっと勉強しろ」的な声もありますが、行動して、勉強して、行動して、勉強して、そういう流れでいいんじゃないでしょうか。
まずは、感心を持つことが一番大事ですよね。
 

まとめ

  • 2015年9月19日、安全保障関連法制が成立した
  • 安保関連法制とは1つの新しい法律と10の改正法からなる

  • 今後、自衛隊が海外で武力行使が出来るようになる

  • 安保関連法制の是非は置いておいても、安部政権は説明不足すぎる

  • 違憲かどうかと言えば、自衛隊の存在自体が違憲では?

  • 安保法制絡みの国会前のデモの規模は大きいといっても、国を動かすほどの規模ではない

  • 若者のデモ参加は、政治への感心が高まるという意味でも意義深い
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    コメント

    • 通りすがりに目に留まったもので
      少々お邪魔します。

      >素直に憲法9条の条文を読めば、自衛隊があること事態がもう憲法違反 なんですけど・・・。

      安保法制が盛んに報道されていた当時、マスコミは、憲法学者が「集団的自衛権は違憲」と言っていたことばかり報道していましたけど、条文だけが命の学者は集団的自衛権どころか、個別的自衛権も違憲と言っていますし、あなたの仰るとおり彼らにとっては自衛隊も違憲なのです。
      なのに「憲法学者は集団的自衛権だけを違憲と言っている」とも取れる報道は卑劣ですよね。

      あまり取り上げられないことですが、「そもそも憲法とは何か」という問題があります。
      国の形や国民の意思を表す憲法が、なんと自国を守ることを拒否している。
      という、ありえない現実。
      ありえない自己否定の憲法。

      つまり、この憲法は欠陥品なんじゃないの?

      最近ある方が「憲法9条こそ憲法違反だ」と言っていたのを読んで笑ってしまいました。
      ほんとうにその通りだと思いました。

      自国を守れる正常な憲法を持てる日は来るのでしょうか。
      それとも憲法が望むとおり、自国を守らず滅びる方が早いのか・・・

      by みや 2015-11-24

    • >通りすがりの方

      難しい問題ですが、マスコミはいつの時代も問題アリですね。

      そういや、永世中立国のスイスはガッツリ軍隊持ってて、徴兵制度もありますね。
      力が無ければ中立は保てないでしょうからね。

      by sanmon 2015-11-28

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