パート主婦を悩ませる新た年収106万円の壁!
これ、社会保険加入の新たな基準なんですが、いまいち分かりづらいことが多いようです。
それでは、ある程度106万円の壁について調べた人がぶつかるであろう、以下の3つの疑問を掘り下げて解説したいと思います。
「2016年10月からっていうけど、いつから働く時間抑えたらええの?」
「従業員501人以上の企業が対象っていうけど、それって会社全体で?それとも、そこで働いている人だけで見るん?」
「うち、パート掛け持ちしてんねんけど、あ!結構でっかい会社な!この場合は、両方の給料合わせて106万円超えたらってことなん?」
目次
106万円の壁を超えないために1月から収入を抑える?
年収106万円を超えたら社会保険に加入しないといけなくなるのでしょうか?
だったら、社会保険に加入したくない、旦那の扶養に入っていたいというのであれば、1月から働く時間を調整していかないといけなくなりますよね?
けど、社会保険ってそもそも年収で判断するもんじゃないんです。
そう、〝年じゃなくて月〟で見るんです(*゚Д゚)
そして、月の手取り額や総支給額で見るわけでもありません。
健康保険や厚生年金保険の保険料や保険給付の算定に使われる標準報酬月額というもので見るんです。
この標準報酬月額というものが、88,000円以上あるかどうかなんです。
ちなみに、106万円というのは、この88,000円の12ヶ月分105.6万円を切り上げた数字です。
来年10月から拡大される事になる短時間労働者の社会保険の的用基準も当然この標準報酬月額を基準にします。
で、この標準報酬月額の決め方もいろいろあるので一概には言えないのですが、社会保険料を決める元となるのが4月~6月の報酬の平均額を元にして決める標準報酬月額なのです。
とにかく年収106万円って金額にこだわる必要はないってことです。
8.8万円に含める?含めない?
ちなみに、この標準報酬月額の算定には〝残業代、通勤手当、精皆勤手当、家族手当〟などを含めないといけないのですが、どうやら88,000円の社会保険に加入するかどうかの判断には、これらを含めないようです。
ボーナスはそもそも標準賞与額とういものがあり、標準報酬月額とは別算定です。
88,000円に含めない根拠は、改正される法律(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律)に以下のように規定されているからです。(ここは、ややこしいの嫌いな人は飛ばしください。)
「報酬(最低賃金法(昭和34年法律第137号)第4条第3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第22条第1項の規定の例により算定した額が、8万8千円未満であること。」
最低賃金法第4条第3項各号というのは、最低賃金に含めない賃金を規定した条文で以下のように規定されています。
第4条
3 次に掲げる賃金は、前2項に規定する賃金に算入しない。
① 一月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
② 通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
③ 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金
①はボーナスや祝儀、②は残業代や深夜手当でのことです。
おそらくこの解釈で良いと思うのですが、間違っていたらゴメンナサイ m(_ _)m
従業員501人以上の企業ってどういうこと?
次第に拡大されていくようですが、とりあえず平成28年10月からの適用基準の拡大は、〝従業員501人以上の企業〟だけが対象となります。
けど、明らかに501人なんていないとこなら気にしなくていいのですが、きわどいとこだと何が501人なのかで超えるか超えないか変わってくるところが出てきます。
この501人以上というのは、従業員全員ではなく、元々の基準で厚生年金保険の加入者が501人以上ということなんです。
なので、正社員プラス@ってとこでしょうか。
ですので、従業員が1,000人いたとしても、厚生年金保険に加入していないパートやアルバイトが700人いるのであれば、除外されるので関係なしってことです。
そして、支店やお店などがいくつもあるような会社の場合、それぞれの事業所単位で見るのではなく、その会社の全ての事業所の人数になります。
あくまで法人単位です。
そして、法人化していない個人事業所の場合は、その事業所ごとで見ることになります。
いずれにしても、「3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講じる」となっていますので、この適用除外の範囲はどんどん狭くなっていくでしょう。
改正実施に伴い、改めて要件をまとめておきました!
⇒ 社会保険106万円の壁|月給や残業代は?何時間働く?500人超えの会社とは?
パート掛け持ちの場合は収入を合計するの?
まず、 130万円の社会保険の扶養から外れる壁 と 106万円の社会保険加入の壁 があることを頭に置いてください。
130万円の扶養の壁は、それだけの収入があるならもう扶養ではないということですので、掛け持ちしている収入を合算して見ることになります。
つまり、両方の給料を合わせて130万円が扶養から外れるラインです。
そして106万円の社会保険加入の壁は、勤務先の社会保険に加入しなければならないかどうかの基準です。
あくまで、勤務先での問題ですので、これは合算しません。
パート先Aで年収60万円、パート先Bでも60万円の合計120万円ならどちらでも社会保険の加入要件に達しませんし、合計120万円なので扶養からも外れることもありません。
ただ、Aが70万円、B60万円だと合計130万円で、どちらの会社の社会保険にも加入しませんが、扶養からは外れることになります。
じゃ、どうなるのかというと、国民健康保険に加入し、国民年金を支払うことになってしまうんですね。
ちなみに、どちらも501名以上の企業に該当し、どちらも週20時間以上働いて、月8.8万円以上の給料を貰うようなら、両方の会社の月収を合算して標準報酬月額を算定し、保険料は両社で按分という形になるでしょう。
●130万円の壁や103万円の壁についてはコチラをどうぞ!
⇒ パート主婦の106万円の壁を分かり易く正確に|130万円と103万円
●社会保険料の算定の仕組みや対象期間などについて詳しくはコチラで
⇒ 年収が増えても社会保険料が上がらない方法は?決め方と計算方法を詳しく解説
コメント
最後のどちらも501人以上、20時間以上働いても、合算はしません。
どちらかを主としてその会社の収入によって社会保険に入ります。
所得税ではこの主の会社では甲、別の会社では乙となります。
by りん 2016-08-09
すみません。
先程、以下のメールをした者です。
勘違いしておりました。
このサイトの通り、合算で按分でしたね。
大変失礼しましたm(._.)m
最後のどちらも501人以上、20時間以上働いても、合算はしません。
どちらかを主としてその会社の収入によって社会保険に入ります。
by りん 2016-08-09
>りんさん
ご丁寧にありがとうございますm(_ _)m
by sanmon 2016-08-09
88000円の壁について教えてください。スーパーで働いている主婦です。6月までは月5万くらいで働いていましたが、6月からは同じ店で部署は違う所で掛け持ちして 7月と8月のお給料はそれぞれ9万円ほどもらいました。今月も同じくらいのシフトを入れられているのでおそらく同じくらいのお給料だと思います。88000円を越えているので、今月中に88000円以下になるように調整しないと
by 村上 2016-08-19
>村上さん
社会保険料は4月~6月支給の給料を基にして、9月からの1年間の保険料を決定するのが基本です。
従って村上さんの場合は今回に限っては給料が増えた影響はないと思うのですが、微妙なラインだなと思えば会社に確認するのが一番です。
by sanmon 2016-08-19
初めまして。色々分からないことを調べるうちにこちらへ辿り着きました。
無知で恥ずかしいのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
昨年10月から8時間労働、月11〜15回の枠でアルバイトをしています。
8月に事業所(従業員数500人以上)から「10月から厚生年金と健康保険に加入しますか?」という回覧が回ってきました。また、その後130万円の壁が106万円になった(なる?)という言葉をネットで目にしました。
今の会社で仕事をするまではお小遣い程度しか仕事をしておらず完璧に、配偶者控除に収まっていたのでこれらのことにはまるで無関心でおりました。
社会保険の徴収のシステムやタイミング等、様々なことがわからず大変当惑しております。
そこで伺いたいのですが、①会社員の夫の今年の年末調整で私の分の控除を受けるには『今年の1月〜12月に受け取るの収入が130万円以内』ということで大丈夫なのでしょうか。
仕事場は4〜6月が繁忙で15日フルで出動し残業までしたので、130万円以内の年収として考え今後年末に向け日程を減らす調整をしようと思っていました。
また、厚生年金への加入が10月から?….という話も浮上し頭の中がすっかりこんがらがっています。
②配偶者特別控除は査定基準が1〜12月、厚生年金等の社会保険は基準が4〜6月の収入なのですか?
この2つは切り離して考えるものなのでしょうか?
ちなみにこれまでの給料は1〜6月までが12万前後(残業の多かった6月は13万円超過)、それ以降7、8は9万円以下です。
あまりに混乱しているので的を得た質問ができていないかもしれませんが、
お答えいただければ幸いです。
さらに③厚生年金への加入は10月からではなく1月からにできるのでしょうか。
(会社は”できそう”と言っていますが不安で)
130万円枠として考えた場合に4〜6月は繁忙期に当たり15日フルで出動し残業までしたので今後日程を減らす調整をしなくてはなりません。来月分のシフトの提出の内容(9/20締切)で全て決定になりそうなので大変焦っております。
by kuri 2016-09-13
>kuriさん
kuriさんの旦那さんの年末調整時の控除は旦那さんの所得税の話です。社会保険とは関係ありません。
kuriさんの年収を130万円未満に抑えるとうのは、社会保険上の扶養の話です。
旦那さんの社会保険の扶養に入っておくには、そうしておく必要があります。
そして106万円はkuriさんの勤め先で社会保険に加入するかどうかのラインです。
例え、年収が130万円未満で、旦那さんの社会保険の扶養に入れる要件であっても、
106万円のラインによって、kuriさんが会社の社会保険に加入することになり
結果として、旦那さんの社会保険の扶養から外れることになります。
そして、この106万円の方は厳密には年収で見るのではなく、4~6月の3ヶ月の報酬を元に決める
標準報酬月額というもので見ます。
kuriさんの場合は、4、5月が12万円前後で6月が13万円超えのお給料とのこと。
普通に考えればもう社会保険に加入しなければならない状態かと思いますが、
社会保険料の計算には残業代も関係するのですが、106万の壁の方では残業代は加味しません。
ですから、4月~6月の残業代等を抜いた基本の給料だけで平均88,000円未満であればセーフかと思います。
ややこしすぎますね(^_^;
もう、このラインの方はネットで情報を見るのではなく、しっかり会社に話を聞く必要があります。
そもそも「加入しますか?」と聞いてきてくれてるので、嫌なのであれば「加入しません。」と回答すればどうですか?
その上で、加入しなければならない状況なのであれば、会社側から説明があるでしょうし、ないのであればしっかり説明してもらいましょう。
by sanmon 2016-09-14
追加で質問です。
④仮に10月から厚生年金等に私が加入した場合、どうなってしまうのでしょうか?控除や追徴課税とか。
by kuri 2016-09-13
>kuriさん
保険料の負担ナシで加入できていた旦那さんの社会保険の扶養から外れることになります。
控除というのは何の控除でしょうか。
kuriさんの所得税の話ですと、支払った社会保険料分はもちろん控除して計算されます。
追徴課税っていうのは脱税とかしたときに発覚したらとられる税金ですので関係ないです。
とにかく会社にしっかり聞いてください。
kuriさんの標準報酬等を把握しているのは会社ですから。
by sanmon 2016-09-14
丁寧なご返答ありがとうございます。
基本の「き」が分かっていないので収入を得ることによって徴収されるお金がごっちゃになっている状況下、回答の内容も理解したところ、しきれていないところがあります。
すでに会社にも訊いてはみたのですが、どうもしっかりした返答がもらえず持て余していました。
そんな状況ですが、あらためて質問を投げかけることに致します。
ひとつだけ、会社の担当部署からハッキリした回答を得たのは「社会保険のへ加入は10月からでも1月からでも良い」という部分です。
社会保険加入の「標準報酬月額」というものからすると仰る通り、私は加入に該当する枠に入っていました。
それでは10月からの加入と1月からの加入のどちらが良いのでしょうか。
また、この状況だと年収を130万以下に抑える意味があるのかないのか….
わからないまま、なるようになるのかな〜という気もしています。
by kuri 2016-09-18
>kuriさん
出来れば加入したくなかったんですよね?
なら、会社が10月でも1月でもというのなら1月で良いのじゃないでしょうか。
社会保険に加入することによって、130万円のラインを気にする理由はなくなります。
by sanmon 2016-09-19
加入したくない訳ではありません。キリのよい所で加入したいということだったのですが、
担当部署の中のきちんと答えてくださる方に相談できてようやく解決しました。
1月からになりました。
所得税、控除される配偶者の条件、社会保険のことなどあれこれ訊きましたが、
案外ファジーな面があるようなので驚きました。
時代によって変わるものとはいえ、中学や高校時代に教育されるべきだと思いました。
sanmonさん、度重なるご返答をいただきまして大変お世話になりました。
ありがとうございます。
by kuri 2016-09-20
通勤手当は、報酬月額の基礎としてカウントされるでしょう。
501人以上とは、社会保険の加入者との事ですが、
健康保険の加入者数と厚生年金の加入者数はイコールではありません。
by 労務 2016-10-05
>労務さん
本分にも書いていますが、通勤手当は標準報酬月額の算定に含まれますが、この10月からの短時間労働者への厚生年金保険適用拡大の賃金月額8.8万円には含まれません。
おっしゃる通り、健康保険と厚生年金の加入者数はイコールではありませんね。
正確には厚生年金保険の被保険者数となります。
by sanmon 2016-10-06
はじめまして。
色々と分からず、こちらのサイトを読ませていただきました。
解りやすいのでよく読んだのですが、確信が欲しくて、教えてください。
私は今年6がつから飲食のパートを始めました。
6月から9月までは8万に全然届かない金額で働き、10月が9万ちょっと(11月振り込み)、11月が10万7千円ほどで(12月振り込み)、12月は8万8千円以内にするつもりです。
10月、11月の週の就業時間は20時間は余裕で超えています。
職場は大手ではないです。
この場合、106万の壁は関係ないですよね?
8万8千円を2回超えているのですが、何か引っかかってしまうところとかありますか?
今年は、何もきにせずに働いていいのでしょうか?
ちなみに主人は公務員になります。
よろしくお願いいたします。
by みんみ 2016-12-03
>みんみさん
従業員が500人以下なら88,000円は気にしなくていいですよ。
この場合の従業員とは、会社全体で元々の厚生年金に加入していた人数とお考えください。
際どい人数の場合は、会社側に確認してみましょう。
by sanmon 2016-12-15