鍼灸治療院で健康保険は使えない?使い方と不正請求について

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鍼灸治療院に行かれたことがありますか?
ていうか、鍼灸治療とは何かご存じですか?
鍼灸は〝しんきゅう〟と読み、鍼(はり)と灸(きゅう)のことです。
鍼灸治療とは、鍼を刺す治療とお灸する治療で、鍼灸院とは、〝はり師・きゅう師〟という2つの国家資格を持つ鍼灸師が開く治療院です。

今日は、この鍼灸治療院での健康保険の使用について分かり易く解説していきます。

鍼治療の効果や副作用等について知りたい方はコチラへ
鍼治療の副作用と事故|効果は?なぜ効くの?頻度は?しすぎない方がいい?

目次

鍼灸治療院で健康保険は使えないの?

結論から言うと、鍼灸院でも健康保険は使えることがあります。
〝使える〟ではなく〝使えることがある〟です。

〝はり・きゅう〟の施術について、〝療養費〟として健康保険の適用対象となるのは、以下の対象となる傷病だけです。

【はり・きゅうの健保適用対象の傷病】
●神経痛
●リウマチ
●五十肩
●頸腕症候群
●腰痛症
●頚椎捻挫後遺症

対象の傷病6つを見ると、どれも慢性的な症状や病気からくる症状となっています。
急性、亜急性の外傷性のものが対象となる 整骨院や接骨院とは真逆 ですね。
ちなみに、肩こりは対象外です。
けど、頸腕症候群が適用していることは多そうです。

また、同じ傷病について病院と同時に健康保険扱いを受けることが出来ないのは整骨院等と同じです。

もう一つの大きなポイントとして、医師の同意書が必要となります。

考え方としては、医師による適当な治療手段がなく(医療機関において治療を行い、その結果、治療の効果が現れたかった場合等)、はり・きゅうの施術を受けることを認める医師の同意がいるということです。

けど、これ実は法律的に定められているものではないんですよね。
けど、実際問題これがないと健保組合等の保険者から支払いはされません。

なお、整骨院等と同様、健康保険負担分の請求を院側に任せる〝受領委任払い〟も実施されていましたが、平成18年に東京高裁にて「鍼灸師等の治療費については、受領委任払いを認めるか認めないかは健保独自の判断でOK」といった判決が出たので、保険者によっては認めてくれない場合もあるようです。
このような場合は、患者自身が健保へ請求する償還払いの方法を取らなくてはなりません。

とにかく、なかなか取りにくい医師の同意が必要であること、しかもその同意も3ヶ月ごとにいることから、整骨院や接骨院と違い鍼灸院での健保診療はそう多くはありません。
ですから、はり・きゅうで健康保険は使えないと思っている人も多いのです。

また、健康保険の規定料金は鍼灸院にとってはかなり低い設定となっています。
同意書が必要なうえ保険請求の手間も増え、料金も低くなるが故に保険治療はしたくなく、自費治療が主となっているという背景もあるでしょう。

 腕が良ければ 、高い自費での施術料でも患者はやってきますからね。

鍼灸治療院での健康保険の使い方と注意事項

鍼灸治療院の中には、健康保険治療を積極的に取り入れているところもありますので、健康保険を使う場合の流れと注意事項についてまとめておきます。

【鍼灸院で健康保険の使い方】
① まずは、行きたい鍼灸院に問い合わせて、健康保険を使えるか確認する。
② 鍼灸院で、医師に書いてもらう同意書の用紙をもらう。
③ 同意書を、治療を受けている病院(整形外科やかかりつけ医)に持参し、必要事項を記入してもらう。
 ※同意書の代わりに、病名、症状、発病年月日が記載され、鍼灸の治療が適当である事が記載された診断書でも可。
④ 記入済みの同意書と健康保険証と印鑑を鍼灸院に持参し施術を受ける。
⑤ 受領委任払いの場合、その後の手続の一切は鍼灸院が行ない、患者は健康保険が適用された鍼灸治療を受け、自己負担分だけ支払う。
⑥ 鍼灸院での施術を受ける期間が3ヶ月以上になる場合は、改めて医師に同意をもらう。
 ※再同意の場合は口頭でも可。
 
【鍼灸院での健康保険使用時の注意点】
① 先に病院の医師の治療を受けていること。
② 健康保険で鍼灸治療を受けている期間は、鍼灸治療の対象となっている傷病について病院で治療を受けられない。
③ 最初に医師の同意を受けてからそれ以後、3か月ごとに再度の同意が必要。
④ 健康保険の種類(保険者)によっては取り扱いができなかったり、患者本人が手続きをしなければならない場合もある(受領委任払いではなく本来の償還払い)。

鍼灸治療院による健康保険の不正請求について

整骨院、接骨院による健康保険への不正請求は社会問題にもなっています。

詳しくはコチラをご覧ください。
健康保険は整骨院や接骨院で使えるの?不正請求アンケート
 

これは、受領委任払いが原因の一つでもあるのですが、同じ受領委任払いが出来る鍼灸治療院での不正の数は、 整骨院や接骨院に比べると非常に少ない と言えます。

この原因はおそらく、整骨院の柔道整復師よりも鍼灸院の鍼灸師がコンプライアンス意識が高いとかそういったことではなく、医師の同意が必ず必要であることが要因でしょう。
また、医師の同意が必要であることから、健保治療を積極的に行う鍼灸院自体が、整骨院や接骨院に比べて圧倒的に少ないというのもあります。

しかし、それでもやはり不正請求はあるんです。
それでは、鍼灸院での健康保険への不正請求がどのような内容であるのかを見てみましょう。

大きく分けて3パターンに別れます。
 
【鍼灸院の不正請求3パターン】

施術日の水増し
これは、接骨院でも多くある不正請求です。
実際には、通院していない日に施術されたことになっています。
患者に対し、健保で定められたものより手厚い治療をしているから、健保への請求も多めにするといったような話を患者にするような場合もあるようです。
 
交差請求(整骨院と併設の場合)
これは、鍼灸師と柔道整復師の免許を両方持っているか、もしくは両方の資格者がいる院で行われるものです。
実際は、鍼灸治療をしているのですが、適当な柔道整復師としての施術対象の傷病名を付け、整骨院側で健康保険に請求するといった手口で、これを交差請求といいます。
健康保険を使って鍼灸治療をしていて、医師の同意書を提出していないのであれば、この不正が行われているでしょう。
 
同意書の不正(医者とグル)
同意書に関する不正と言えば、実在する医師に成り済ましての同意書の偽造、これには無断使用と許可を得た上での偽造がありますが、露見する可能性も高いことからその数は少ないでしょう。
多いのは、悪い言い方をすれば医者とグルになっているパターンです。
このような場合は、鍼灸院に医者を紹介されるでしょう、そして、ほとんどまともな診察などせず同意書をすんなりと書いてくれます。
中には病院への送迎サービスまで行っている治療院もあるようです。
患者にも、健康保険を使って安く施術を受けられるメリットがあるため、露見もしにくいですが、鍼灸師、医師、患者が共謀しても詐欺となります。
同意するのが、医者なら誰でも良い(歯科医、美容整形医以外)って制度も悪いですね。
 

マッサージの健康保険使用等についてはコチラをご覧ください。
マッサージに健康保険は使えるのか|不正請求と無資格営業

まとめ

  • 鍼灸治療院とは、〝はり師・きゅう師〟という2つの国家資格を持つ鍼灸師が開く治療院
  • 鍼灸治療の健康保険的用対象は、慢性的な症状や病気からくる6つの傷病

  • 鍼灸治療で健康保険を使うには必ず医者の同意がいる

  • 鍼灸治療院の不正請求は整骨院や接骨院にくらべるとかなり少ないが、医者とグルになっての同意書の作成などが問題

  • 整骨院併設の場合は、鍼灸治療を整骨院での治療とする交差請求という不正がある。
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