健康保険は整骨院や接骨院で使えるの?不正請求アンケート

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整骨院や接骨院などで治療を受けたときに健康保険を出す場合、逆に出さない場合があると思います。
健康保険を使えば7割(年齢等によって違います)は保険協会や保険組合が負担してくれるので、自己負担は高くても3割で済みますが、健康保険が使えないと結構な費用がかかりますよね。

けど、どんなときに健康保険が使えて、どんな場合は使えないのでしょうか?
同じような症状で前に行った接骨院では使えたのに、次に行った接骨院では使えなかったなんてこともよく起こります。
これは、いったいどういう事なのか解説していきます。

目次

そもそも健康保険とは

私たちは、病気やケガをしたときに病院にかかれば健康保険を出して診察を受けます。
保険証を出すことで、医療費の大部分を会社の健康保険組合や協会けんぽ、市区町村の国保が病院に支払ってくれるので、患者自身の負担は基本3割です。
年齢等によって1割や2割の場合もあります。
お子さんの場合で自己負担ゼロになったりするのは、市区町村が乳幼児等医療費助成で負担している場合です。

健康保険の運営は被保険者が支払う保険料で賄われます。
サラリーマンの方なら毎月お給料から天引きされ、自営の方ならご自身で支払っていますよね。

ところでこの当たり前に使用している健康保険ですが、以下のような場合は、病院でも使うことが出来ません。

● 仕事中や通勤中のケガ
 労災保険の対象となるので、原則として健康保険は使えません。
 ちなみに、会社が労災に加入していなかったとしても労働者は労災を使用できますので、やはり健康保険は使用できません。

● 病気やケガの治療以外
 健康診断、人間ドック、美容目的の整形手術、レーシック等の近視手術、予防注射、正常な妊娠・出産、経済的理由による人口中絶など。
 出産したときは出産育児一時金が受けられます。

● 研究中の先進医療
 先進医療とは大学病院や保険機関で開発された最先端の医療技術の中で厚生労働大臣が認可したものです。
 健康保険が適用されない理由は、治療の効果や安全性が、健康保険の適用とされるにはまだ不十分と判断されているからといったことです。

● 健康保険を使えない病院
 ほとんどの病院が、保険医療機関として健康保険が使える状況ですが、全てではありません。
 元々、保健医療機関になっていない病院もあるかもしれませんが、病院側の不正請求などで保健医療機関の指定を取り消されている病院もあり、取り消し処分を受けると原則5年間は再登録できません。

ちなみに、交通事故では健康保険は使えないと思っている方も多いようですし、病院も健康保険を使わさない方向に持って行こうとするところも多いです。
しかし、 交通事故でも健康保険は使えます 
ただし、交通事故に限らずですが、誰かにケガを負わされた場合は第三者行為といい、健保組合等の保険者に第三者行為による傷病届という届出をしなくてはなりません。
これによって保険者はケガを負わせた人に求償、つまり取り立てることが可能となります。

整骨院や接骨院で健康保険が使えるとき

健康保険が使えるのは何も病院だけではありません。
以外と知らない人も多いのですが、整骨院や接骨院と呼ばれるところでも健康保険が使えることがあります。

ここで言う整骨院や接骨院とは柔道整復師という国家資格を持った人が開設しているところで、整体やカイロプラクティックなどは全く別物です。
 名称が統一されていない こと、 資格の名称が分かりにくい 事も、整体院とはどのような所なのかを分かりづらくしている要因の一つかもしれません。
ちなみに柔道整復師という名称は、元々、柔道の現場で発生した応急処置的なことをしていたからでした。
実際、元柔道家の柔整師も多くいます。

鍼灸院での健康保険使用についてはコチラを読んでください。
鍼灸治療院で健康保険は使えない?使い方と不正請求について
 

では、整骨院や接骨院で健康保険が使えるのは、どのような場合なのか見ていきましょう。ヽ(゜∀゜)

整骨院、接骨院で健康保険の対象となる施術は以下の場合に限られます。
ちなみに、柔道整復師が行うのは施術であって診療ではありません。

●急性または亜急性の外傷性の打撲・捻挫・挫傷(肉離れなど)・骨折・脱臼

※骨折と脱臼については応急処置を除き医師の同意が必要に。
※亜急性とは、急性と慢性の中間で、最も悪い状態からは脱したものの、急速には回復せず、症状が継続する状況。
※病院で同じケガを治療中の場合は対象外

ですから、 慢性的な症状や病気からくる症状などは一切対象外 なんですね。
急性であっても、労災対象のものは当然対象外です。

そして骨折や脱臼の場合で、医師の同意が貰えることは非常に稀です。
骨折や脱臼で病院にかかるなら診療科は整形外科が普通ですが、整形外科と整骨院はいわばライバル関係。
整形外科の医師で整骨院や接骨院を良く思っている人は非常に少ないです。
たまに、整骨院を併設した病院がありますが、そのようなところはまた別で、院内で適したところに振り分けるでしょうから病院で診察を受けた後に柔整師の施術を受けられることは多いです。

「けど、アレ? ずっと慢性的な痛みを和らげるため接骨院に通ってるけど、いっつも健康保険を使ってるけどな~・・・。」なんて人もいることでしょう。
さて、これはいったいどういう事なのでしょうか?

整骨院や接骨院の健康保険不正請求

接骨院・整骨院で健康保険を使えるパターンは、先ほどお話ししたように、かなり限られています。
しかし、実際は意外と健康保険を使えているんですね。
これは、どういう事かというと本来は健康保険を使えない施術なのに健康保険を適用している事が結構あるという事なのです。

そう、つまり、不正請求です。
これは、社会問題にもなっています。

もちろん、不正請求などしない真っ当な柔整師の先生が大半でしょうが、地域にもよりますが不正請求を行う柔整師の数は、かなり多数にのぼり、決して珍しくはないのです。

柔道整復師の施術の費用を、健康保険上は療養費といいます。
この療養費は本来、患者が全額を支払った後、自ら健康保険の保険者へ請求して支給を受ける〝償還払い〟、つまり一旦立て替えてから請求するが原則なのですが、例外的な取り扱いとして、患者が自己負担分を支払い、柔整師が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する〝受領委任払い〟という方法が認められています。
例外と言っても患者の手を煩わせないよう、ほぼその方法が取られていますので、整骨院や接骨院にかかり健康保険を使うときは、皆さん〝療養費支給申請書〟という書類に署名しているハズです。
この用紙は、患者が行うべき健康保険が負担する分の請求を柔道整復師に委任する 委任状にもなっている のですが、これが不正のはびこる原因となっているのです。
また近年、柔道整復師の数が急激に増加し、結果、整骨院や接骨院が乱立していることで各院の経営を圧迫していることも一つの要因でしょう。

整骨院・接骨院の不正請求には以下のようなものがあります。

① 施術部位の水増し
 実際には施術を受けていない部位を施術したことにします。

② 施術日の水増し
 実際には施術を行っていない日に施術をしたことにします。

③ 施術内容の変更
 本来は健康保険が適用されない施術を、健康保険が適用されるように実際の施術とは違う施術をしたことにします。

④ 無資格者による施術
 柔道整復師の資格を持たない施術者が行った施術を、柔整師が行ったことにします。

上記の中でも特に①と③が多いと思われ、③については、患者側が健康保険は適用されないことを知っている場合と、知らない場合があります。

知っている場合とは、ほぼ③の場合です。
つまり本来は全額自己負担をしなければならない肩こりや腰痛などに対しての慰安目的でのマッサージや電気治療などを、健康保険を使うことで安く受けることが出来るので、患者側も何も言わないといった状態です。

何の委任状でもサインする場合は本来、そこに書かれている内容をしっかり把握しなければなりません(何も確認せず署名押印する日本人はとても多いですが・・・)。
しかし、整骨院や接骨院で施術を受ける場合、一般的に 最初の日に療養費支給申請書への署名を求められることが多く 、その月の施術内容や施術日数を確認出来ないので、①や②の施術部位や施術日の水増しについて患者側は分からないという実情もあります。

マッサージの健康保険使用について知りたい方はコチラへ
マッサージに健康保険は使えるのか|不正請求と無資格営業

健保組合や協会けんぽや市町村からくる治療内容等のアンケート

整骨院や接骨院で健康保険を使うと、会社の健保組合、協会けんぽ、市町村などから治療内容(施術内容)についての アンケートが送られてくる ことがあります。

内容は、ケガの原因、治療年月日、治療内容などについての質問です。
目的はもちろん不正請求を行っていないかを調べるためですね。

このアンケートの回答と整骨院からの請求内容が異なっていれば、アンケートを返信した患者に対し、電話での再確認を行うこともあります。
そして辻褄が合わなければ、健康保険側は整骨院からの請求を却下することになります。

整骨院、接骨院はこれにより予定していた施術費用が入ってこないばかりでなく、原則として5年間は療養費の受領委任の取り扱いが出来なくなります。
ただ、何故か保険請求自体は出来るようですが・・・・。
ただ、悪質だと営業停止や免許取消などの処分もあるもかもしれません。
ちなみに 不正請求による処分は、実名や所在地がインターネット上で公開 されることになります。

アンケートが来て患者側として心配なのは、本来は健康保険が使えないのに、健保治療を受けてしまった場合などで、後で本来の多額の請求をされるのではないかといったことでしょうか。
しかし、仮に整骨院から請求されたとしても(多分、ないでしょうが・・・)、本来、保険適応か否かの説明義務が整骨院側にはありますので、それを行わずに健康保険を利用させた、つまり患者を騙して健保治療を受けさせたことになるので、つっぱねる事が可能かと思います。

整骨院の中には、「アンケートのようなものが組合から自宅に届くかもしれませんが、そのときは当院にお持ちください。」といった事を言うとこもあるようです。
持って行けばもちろん、辻褄の合うウソを書いて健保側に提出するでしょう。
 

整骨院や接骨院の電気治療について知りたい方はコチラへ!
整骨院や整形外科の電気治療は効果ある?種類や周波数による違い

まとめ

  • 健康保険は病院でも使えない場合がある
  • 整骨院や接骨院でも健康保険は使えるが、慢性症状は一切対象外

  • 整骨院や接骨院の不正請求が多く、社会問題にもなっている

  • 整骨院や接骨院の不正請求の原因は受領委任方式も大きな要因だが、柔道整復師の急増も一つの要因

  • 整骨院や接骨院の治療内容については、不正請求調査のため保険者からアンケートがくることも多い
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