誰でも経験した事のある痛み・・・・
ちょっと頭が痛い、お腹が痛い、歯が痛い、足の指をタンスの角にぶつけた、ボールが当たった、殴られた、階段から落ちた、車に轢かれた、蜂に刺された、犬に噛まれた、捻挫した、火傷した、骨折した、出産した・・・・
いろんな痛みがありますよね。
人によっては経験したことのある痛みもあれば、経験のない痛みもあると思います。
今日はこの痛み、そして痛みの評価について書いていきたいと思います。
同じ痛みだとしても、他人に理解してもらいえない痛みというのはとっても辛いものです。
それを、客観的に評価出来ればそれは画期的で、治療にも大きく役立つでしょうね。
目次
痛みは他人には分からない!!
〝自分の痛みは他人には分からない〟
当然と言えば当然のことかもしれません。
経験した事のある痛みでも、全く同じ痛みである訳がありませんからね。
けど、自分自身が経験した痛みで、それが記憶に残っていれば(曖昧な部分もあるかもしれませんが)比較することも出来ますが、他人の痛みの強さはあくまで自分の経験と照らし合わせた推測でしかありません。
「これくらい、痛いんだろうな~。」という程度の。
痛みに強い人、弱い人というのもあるようですが、そもそも痛みに強いと言われる人が感じている痛みと、弱いと言われる人が感じている痛みが、同じ種類のものであったとしても、同じ痛みの強さかどうかは分かりません。
〝線維筋痛症〟という病気があります。
原因は解明されておらず根治させる治療法も確立されていません。
この病気は検査等では特に異常が見当たらないのに、全身至るところに激しい痛みが生じます。
しかし、骨折や切り傷などのように外見上の異常はないので、なかなか 他人にその痛みが理解されない のも大きな問題なんです。
外見上異常がないのに強い痛みを感じるのは何も〝線維筋痛症〟だけではありません。
身近なところでは頭痛だってそうですよね。
すごく酷くて辛い偏頭痛でしょっちゅう悩まされていても、それが理解されないなんてこともよくあるのではないでしょうか。
どれほど痛いのか、客観的に判断する方法はないのでしょうか・・・。
痛みを測定する方法は無いのか?
痛みを評価する方法にこのようなものがあります。
VAS(Visual Analogue Scale)といって、最も広く用いられている痛みの評価方法です。
長さ10cmの黒い線(左端が痛みナシで、右端が想像出来る最高の痛み)を見せて、現在の自分の痛みがどの程度かを指し示してもらうという内容なのですが、そもそも個人個人で今までに経験したことのある痛みが異なることから〝想像できる最高の痛み〟が曖昧になります。
また、その人の主観ですので客観的な測定とは到底言えません。
あくまで自分自身の痛みがどう推移しているか等を推し測る程度のものとなります。
痛みを測定するのではなく痛みを評価するということなんですね。
他にも痛みの評価方法はいろいろあるのですが、やはり客観的に痛みの強さを測定する方法はないのでしょうか・・・・
痛みを数値化して評価できるペインビジョン
昨日、2016年8月24日(水)の「ザ!世界仰天ニュース」で、線維筋痛症に苦しむ女の子の話がありました。
その中で、病院で機械を使って痛みの強さを測定していました。
その機械は〝ペインビジョン(Pain Vision)〟というニプロ製の機械です。
〝知覚・痛覚定量分析装置〟というもので、「腕に電流を流し、普段感じている痛みと同じくらいの強さになったらボタンを押す。」そして痛みを数値化できるという測定方法です。
3回測定してその平均値を取る形です。
この測定方法から推測すると、ある程度客観的に痛みの評価が出来るのかもしれませんが、ボタンを押すのは本人ですので、完全に客観的な測定方法ではないとも言えます。
ペインビジョンの測定値がどのような痛さを現しているかと言うと、300を超えるとかなり痛く、1000以上で気絶するほどらしいです。
そして普通の人が耐えれる痛みが100~400までだそうです。
世界仰天ニュースで、番組スタッフが耳にクリップを挟んだ痛みが338という数値でした。
耳にクリップを私も挟んでみましたが、確かに結構痛いんですが、まぁ耐えれる痛みではありました。
そして、番組の線維筋痛症の女の子の痛みの数値は1853と、とんでもない数値が出ていました。
そんな痛みが四六時中あるわけですね。
ちなみにペインビジョンによる痛みの数値の例として以下のようなものをネット上でですが見つけることが出来ました。けど、結構、同じ内容に対してもバラバラなところがあるので余り参考にならないかもしれません。
●骨折 500、500~600、800、1000
●線維筋痛症 男性平均362
●線維筋痛症 女性平均448
●線維筋痛症 平均700、790
●線維筋痛症重症者 1000~3000
●リウマチ 100~200、300、400
●痛風 100~200
●歯痛 100
●インフルエンザ時の身体の痛み 60
●出産 1200
先に紹介した線維筋痛症や神経性の疼痛、複合性局所疼痛症候群(CRPC)など、痛みの程度はとても強いのに、その原因が目に見えない場合は医療従事者にも伝わりにくい事が多くあるでしょう。
それが数値として伝わり把握できる事は、治療方針的にも、また患者本人の辛さが多少分かってもらえるという気持ち的な面でも効果は大きいのではないかと思います。
ただ、2007年に発売されたものなので決して真新しい機械ではないのですが、普及率は極めて低いです。
1台150万円くらいするようですね。