犯罪を犯した人は平たく言えば何でしょうか?
そう〝犯人〟です。
けど、ニュースを見ていると、事件の犯人の事を〝犯人〟とは言わないですよね?
今日は犯人に対する様々な呼び方について書いていきますね。
目次
容疑者や被疑者は犯人とは違うの?
事件報道を見ていたら〝容疑者〟という言葉をよく耳にしますよね?
〝容疑者〟って何なのでしょうか?
〝容疑〟とは「罪を犯したという疑い」のことです。
ですから〝容疑者〟とは「罪を犯した疑いのある者」、つまり、まだ犯人とは確定していない疑い〟の段階なんです。
厳密に犯人である事が確定するには、以下のような流れが必要です。
② 検察に送致
③ 検事が起訴
④ 裁判で有罪が確定
ちなみに〝容疑者〟というのはマスコミから生まれた言葉です。
しかし、刑事手続的には〝容疑者〟ではなく〝被疑者〟と呼びます。
〝被疑者〟とは、上記①~④で言うと③の手前までの人に対しての呼び方です。
整理するとこんな感じです。
容疑者 ≠ 犯 人 容疑者はまだ犯人とは限らない
被疑者 ≠ 犯 人 被疑者もまだ犯人とは限らない
犯人逮捕後の呼ばれ方はどんどん変わっていく
限りなく黒であっても、正式に起訴され、裁判で有罪が確定するまでは犯人ではありません。
そもそも起訴されない事はよくあることです。
ですから、そこまでは刑事手続的には〝被疑者〟で、マスコミ報道的には〝容疑者〟です。
しかし、検察庁にいる検察官、つまり検事がこの被疑者は有罪であると判断し、 起訴されれば〝被疑者〟から〝被告人〟 と呼ばれ方が変わります。
起訴されると刑事裁判が行われるわけです。
ドラマなどの裁判のシーンで裁判官が犯人に向かって「被告人」と呼びかけているのを見た事がある人も多いでしょう。
ただ、略式裁判の場合は被告人とは呼ばれません。
そして、 刑事裁判で有罪が確定すれば〝被告人〟から〝受刑者〟 へと呼ばれ方がまた変わります。
ちなみに日本で刑事裁判に掛けられると、ほぼ間違いなく有罪になります。
「99.9-刑事専門弁護士」というドラマがありましたが、その99.9は日本の刑事事件における裁判の有罪率を表しています。
実際に99.9%の有罪率があるかどうかというと、まゆつばな所もあるのですが、ほぼ有罪であることに代わりはありません。
事件報道の自主ルール?
事件報道を見ていると〝◯◯◯◯容疑者〟と呼んでいることもあれば、名前に〝さん〟や〝氏〟などを付けたり、職業上の肩書きで呼んだりするケースもありバラバラです。
そして一際、耳に残るのが先日のTOKIOの山口くんが女子高生への強制わいせつ容疑で書類送検されたときに〝山口達也メンバー〟と一様に呼ばれていたことです。
これはアイドルグループTOKIOのメンバーという職業上の肩書きということで呼ばれているようですが、あまりにも違和感がありますよね。
これには報道機関が事件を報じるときの用語の使い方のルールがあるからなんです。
逮捕されたときは容疑者と先ほど説明しましたが、逮捕はされておらず書類送検された場合でも容疑者であることに変わりはありません。
しかし、一般的に逮捕された事件よりも書類送検(身柄を拘束しないで書類だけ検察庁に送ること)の場合、刑事処分は軽く済む事が多く、そもそも起訴されず、つまり 不起訴となって無罪放免となることも多い ため、容疑者という呼称を使わず、かつ呼び捨てにしないためという人権への配慮といった理由があります。
このルールは、報道各社がそれぞれ定めているものなのですが、ほぼ同じような内容となっています。
ただ、〝山口達也メンバー〟って・・・・(~_~;)
〝山口達也さん〟や〝山口達也氏〟でいいと思うのは私だけでしょうか・・・
ただ、あくまで報道機関の自主ルールですので、容疑者と付けることも出来ます。
山口くんの件でも、多くの報道機関が〝山口達也メンバー〟と呼ぶ中、〝山口達也容疑者〟と呼称しているところもありました。
この辺は、ジャニーズ事務所への忖度などもあるようですが・・・・。
●こんな言葉の違いも分かりにくいですよね?
⇒ 被害届と告訴と告発の違い