大阪地下街の串カツ松葉に退去命令?道路占用許可?行政代執行?

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大阪は梅田の地下街にある〝松葉〟という串カツ屋をご存じでしょうか?

御堂筋線の改札を出たら
ものの20~30秒で到達する
カウンターだけの狭い串カツの立ち食い、立ち呑みのお店です

はっきり言って「早い!美味い!安い!」三拍子揃っています
どっかの牛丼みたいですね

なんと牛串100円

もう、ニュースをご覧になった方も多いと思いますが
この松葉が今、存亡の危機に立っています

けど、ニュースの内容、ちょっと分かり辛いかと思うんで
もうちょっと、ほじくり返して、こねて、丸めて、 分かりやすく したいと思います

目次

橋下徹市長の大阪市から地下街の名物串カツ店松葉に退去命令

66年も前の昭和24年からずっと大阪・梅田の地下街〝梅地下(うめちか)〟で営業している
立ち食い串カツ店の〝松葉〟
この松葉を含めた5店舗が、大阪市から退去命令が6月8日に出されました
正確には、道路法に基づいた店舗の撤去を求める除却命令です

もともとは、近隣の阪神百貨店の建て替えに伴って
大阪市が地下道の拡張工事を行うため
(阪神百貨店側が費用負担し平成33年春完成予定)
事前説明を行った上で昨年の平成26年9月末に
約30店舗の占用許可を打ち切ったのでしたが
松葉を含めた5店舗は立ち退かなかった経緯があります

そして、今月8日の退去命令なのですが
今回も、市が通告した期限の10日になっても
5店舗は通常営業を行っていて、その後も営業を続ける方針を明らかにしています

大阪市側の言い分は「退去期限だった昨年9月末以降、不法な占拠にあたるとして各店舗に退去を求める文書を配るなどしてきた。しかし店側が応じず、営業を継続したため、法的措置に踏み切った。」
松葉側の言い分は「納得できる説明のないまま一方的に退去を求められた。」
といった感じで、市に地下道の占用許可の更新を求める訴訟を起こして大阪地裁で係争中です

話は戻りまして、松葉を含めた5店舗が10日になっても立ち退かなかったため
大阪市は、早ければ来週にも
 〝行政代執行〟により強制撤去 する構えを示しました

そして、松葉側は大阪地裁に対し、今度は
退去命令の行政処分の取り消しを求める裁判を起こして
同時に、強制退去の執行停止を求める申し立てを行いました

と、まぁ、こんな感じの事件なのですが
難しい言葉が多いですね
そこんとこをもうちょっと掘り下げてみますね


串カツ松葉が存亡の危機みたいだけど道路占用許可って何?

道路に何かを建てたり、続けて使ったりすることを「道路の占用」といいます
例えば、道路に電柱を建てたり、道路の下に水道管を通したりするのも
道路工事をするのも、道路の上に看板を上げるのも
道路の占用にあたり、 占用するためには道路管理者の許可が必要 です

で、今回、問題となっているのは地下道です
日本の公道の地下を利用して作られた地下道は
道路法上の道路管理者によって管理されています
そして、その通行の妨げになるような店舗や設置物は原則として認められず
例外的に道路管理者から道路占用の許可を得た場合にだけ認められるのです

この例外的に認められるのは
工事などのやむを得ない場合だけで
ガスを扱うような飲食店などの常設は
地下防災上の観点から概ね許可されません
しかし、今回、問題となっている大阪の地下街は

他の店もそうだと思いますが、松葉も昭和24年からと
戦後の混乱期からそこを使用し続けているという歴史的背景があります

普通、飲食店などのお店を構えるのであれば
店舗を借りるなり、自分で購入するなりしますが
今回の松葉を含めた5店舗も
昨年に既に退去している約25店舗も
あくまで道路を使うことを認める
 道路占用許可を市から1年更新 で貰って営業を続けてきました
そして、 その占用料は周辺の賃貸相場の約8分の1~9分の1程度 だそうです
まぁ、いつ取り消されるか分からない不安定な条件ということもあり
梅田の超一等地を破格の占有料で使ってこれたんでしょう

つまり、そう、とても有利な条件で営業出来ていた訳なんですね
いわば、戦後の混乱期からの既得権益を持ち続けていたということです
もちろん、だからこそ、あの値段で提供出来ているってこともあると思います
しかし、橋下徹大阪市長は
「既得権益をぶっ壊す」という考えが根底にありますし
市側としては当然の動きだと思います

松葉などが現在起こしている訴訟は〝行政訴訟〟というものです
 行政訴訟で民間側が勝つ確率は非常に低い です
今後、どうなっていくのか、同行に注目したいと思います

あ、私は松葉の串カツは大好きです

大阪市が松葉にしようとしている行政代執行って何?

大阪市からの
梅地下から立ち退けという命令に
松葉を含む5店舗は従いませんでした
だから大阪市は、じゃ、力ずくで立ち退かすと言っています
 この〝力ずく〟が〝行政代執行〟 というものなんです
字をそのまま読めば、「行政が代わりにやる。」
今回の事件に当てはめると
「自分で立ち退かへんのやったら、大阪市が代わりにやりまっせ!!」
ってことです

もうちょっと詳しくいいます
※カッコ内は今回の件にあてはめた場合

行政代執行とは行政上のいくつかある強制執行の一種なのですが
義務者(松葉含む5店舗)が
行政上の義務を履行しない場合(地下街を立ち退かない場合)に
行政庁が自ら(大阪市が自分で)
義務者のなすべき行為をなし(松葉らの立ち退きを無理やりして)
又は第三者をしてこれをなさしめ(又は何処かに頼んでさして)
その費用を義務者から徴収する(かかった費用は松葉含む5店舗から徴収する)
といった事をいいます

ただ、松葉側は
道路法に基づいた店舗の撤去を求める除却命令の取り消しと
行政代執行による強制撤去の執行停止を求めて
裁判で応じている状況です

今までの経過のまとめ(時系列)

  • 大阪市が地下道の拡張工事を行うため、60年以上更新を続けてきていた梅地下で営業する約30店舗の占用許可を昨年9月末で打ち切った

        ∨

  • 松葉を含む5店舗を残し、他の店舗は退去した

        ∨

  • 今月8日、大阪市は5店舗に対し、道路法に基づいて10日までの店舗の撤去を求める命令を出した

        ∨

  • 5店舗は10日になっても通常営業を続けた

        ∨

  • 大阪市は行政代執行という強制執行により退去させる意思表示を示した

        ∨

  • 5店舗は裁判により強制執行を阻止し、退去命令を取り消そうとしている
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    コメント

    • 法を犯している極悪店など、それに加担する客も同罪、共犯で逮捕するべきです。地域の、関西の、しいては日本の品格を失墜させている下品な店など必要ではありません。
      あの匂いが漂ってくるだけで虫酸が走るおもいです。
      撤退した店に対して失礼極まりありません。
      即刻、破壊すべきです……..。以上!

      by エセル・ハロー 2015-06-12

    • >エセル・ハローさん

      なるほど。いろんな意見がありますね。
      私はたまにしか大阪には行きませんので、そんな風には感じたことがありませんでした。

      by sanmon 2015-06-14

    • 松葉はずっと昔から知ってる。
      高度経済成長の頃に貧乏サラリーマンやった人らは安くで飲み食いさせてもらって
      みんな松葉の恩恵に預かってるんとちゃうかな。
      でも今はそんな時代と違う。
      時代が変わってしもうたんやからしょうがない。
      だから松葉の大将もそろそろ諦めなあかんのとちゃうかな。

      by 匿名 2015-06-14

    • 左巻きが「市の横暴だ!」と息巻いてるようですが、こちらの解説を見て市の対応がきちんと当初の約束と法に基づいた対応だということがわかりました。
      「大阪文化の火を消すな!」みたいな意見もありますが、そもそも不安定な許可と引き換えに格安の使用料だったこと、松葉自体もこれでしこたま儲けてあちこちに支店を作ってることを考えれば、単に法律上根拠の無い既得権益を言い募ってるだけ、という話になってしまいますね。

      by 匿名 2015-06-15

    • >匿名さん

      安く飲み食いさせて貰えるのは
      一庶民としては有り難いんですけどね・・・・
      時代は変わりますよね。私も同じように思います。

      by sanmon 2015-06-16

    • >匿名さん

      そのように読んで頂けると有り難いです

      by sanmon 2015-06-16

    • あのへんややこしいんだ
      いろいろあるんだ
      第一ビルから第四ビルまで
      ヤクザが話をまとめて建てた
      だからいまだにパチンコ屋や
      麻雀屋やらがいいとこにおる

      by ロボトミー 2015-06-17

    • >ロボトミーさん

      まぁ、何かとややこしい事はあるでしょうねぇ

      by sanmon 2015-06-19

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