先月の話ですが、広島県の山陽自動車道の八本松トンネルで、2人が死亡した多重衝突事故を起こしたトラックの運転手は、オートクルーズ装置を作動させ、速度を維持したまま居眠り運転をしていたそうです。
自動運転も近い将来夢じゃない状態になってきている昨今ですが、その手前の段階であるクルーズコントロールシステム(オートクルーズ)について、いろいろ書いていきたいと思います。
目次
クルーズコントロールってどんな装置?
クルーズコントロールとは、アクセルを踏まなくてもドライバーがセットした速度を維持したまま走ってくれる機能のことです。
利点はドライバーの疲労が軽減されること。
まぁ、使い所は人にもよりますが、交通量の少ない高速道路とかが多くなるでしょう。
この〝クルーズコントロール〟略してクルコンといいますが、実はその歴史は結構古く、日本車では50年以上前の1964年に、トヨタがクラウンエイトのオプションで〝オートドライブ〟という名称で採用しています。
開発されてから50年以上・・・・けど、たいして浸透していないんですよね。
つまり、あまり「使い勝手が良くなかった。」、「役に立たなかった。」ってことです。
50年もの歴史があるので、クルコンも各社いろんなのがあるのですが、現在の一般的なやつは、設定したい速度までドライバーが加速させ、その速度に達した時点でスイッチを押せばオートクルーズによる巡航が始まるという感じです。
もうちょっとグレードが上のになると、わざわざその速度に到達してボタンを押すとかしなくても、巡航したいスピードをあらかじめ設定しておくことが出来ます。
ただ、この設定速度ですが時速何キロにでも設定できるわけではありません。
日本の道路は高速道路でも制限速度は時速100kmなので、時代やメーカによっても多少違いますが、メーター誤差等も考慮して100kmプラス@くらいが多いです。
つまり、高速道路の道路状況によっては流れに乗れない場合もあるってことですね。
欧州車の場合だと設定速度はもっと高くまでいけます。
時速200キロくらいの設定も普通に出来たりするのもあるようですね。
あと、日本車でも後付けクルコンなら設定上限はなかったりします。
けど、クルコンを知らない人が疑問に思うのは「同じ速度でずっと巡航してたら、前に遅い車がいたらぶるかるやん!」ってことです。
けど、安心してください、 ブレーキを踏めばクルーズコントロールは停止 します。
逆にアクセルペダルを踏み込んだ場合も、踏んだ分だけ加速します。
このドライバーによる減速後や加速後にどういう状態になるのかは、その車についているクルコンの性能によってまちまちです。
ただ、高速道路などでオーロクルーズによる巡航を行っていても、ブレーキ操作が必要なことは多くありますので、セットしていたスピードを車両が記憶していて、簡単な操作で元の巡航状態に戻せるのが多勢です。
クルコンの燃費は?
オートクルーズにすると一定速度で巡航するので、燃費が良くなるという話を聞きます。
果たしてホントにそうなのでしょうか?
クルコンを使っている人からの不満として出てくる話に、オートクルーズ状態で登り坂に入りスピードが落ちると、車は設定されたスピードまで自動で加速してくれるのですが、その加速のタイミングが遅いってことです。
人間が運転する場合に燃費的に効率良く走るには、坂道の勾配に応じて少し手前からやや加速させ、登り坂で大きな力を必要としないように走ります。
抵抗の少ない平坦な道で少し設定速度より速く走り、坂道で設定速度に戻る感じですね。
対して、クルコンの場合はあくまで設定速度で走り、それを下回ってから設定速度に戻すのでより大きな力が必要な(つまり燃料が必要な)登り坂で加速しなければならなくなるのです。
ただ、この点もDBWの導入などにより、レスポンスは良くはなってきています。
※DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ):自動車における運転制御システムの一種で、従来の機械式制御に置き換わり機械的仕事を電線内(電線=ワイヤ)を通る電気信号で制御するシステムのこと
まぁ、クルコンを使って燃費が良くなるかどうかは、その車の クルコンの性能とドライバーのアクセルワークのどちらが上かって問題 になってきますね。
つまり、アクセルワークが下手な人ほどクルコンを使えば燃費が良くなる確率が高いってことです。
最新のオートクルーズ
クルーズコントロールで走っていても、ドライバーが状況を把握し、ブレーキを踏んだりハンドルを操作する必要があります。
しかし、その点の近年の進歩、そして実用化は大幅に進んできています。
それでは具体的に見ていきましょう。
車間距離の維持と自動ブレーキ
今では市販車レベルでレーダーや車載カメラを使った〝車間距離維持システム〟というものが出てきています。
これは、前方車との車間距離をレーダーや車載カメラで測定し、設定していた車間距離が維持できるように勝手に過減速を行ってくれる装置です。
そう、つまりオートドライブ巡航をしていても、前車との距離が詰まったり割り込みをされたりした場合、ドラーバーがブレーキ操作をしなくてはいけなかったのが、車間距離維持システムが付いていれば、自動でブレーキ操作をし、また再加速してくれるようになったのです。
この自動ブレーキは、横滑り防止装置(ESC)による恩恵もあって可能となったものです。
ESCはメーカーに名称もバラバラですが、働きとしては、急ハンドルや車両の横滑りを感知すると、自動的に車両の進行方向を保つように車両を制御し、各車輪に適切にブレーキをかけて、車両の進行方向を修正して維持します。
自動ハンドル
クルーズコントロールと車間距離維持システムにより、アクセルとブレーキを車に任せることが出来るようになりました。
あとはハンドルですね。
けど、ステアリング操作も車に任せることが可能になっています。
それがレーンキープアシストシステム(車線維持支援システム)というものです。
このシステムは、車線がきれいに引かれている道路なら、車載カメラで車線を検知し、車両が車線からはみ出さないように、自動的にハンドル操作をしてくれるのです。
現状、ハンドルから手を離していると警告音が鳴るのですが、高速道路のようにRの小さいカーブだと、勝手に曲がっていってくれるのです。
中途半端な自動運転は危険?
クルーズコントロールでアクセル操作、車間距離維持システムでブレーキ操作、レーンキープアシストでハンドル操作、これらを車に任せてしまうということは、それはもうほぼ自動運転ですね。
自動運転が本格的に普及すれば、車を運転する楽しみというものが失われていくように感じますが、本当に使えるものになれば、 長距離の高速道路での移動などではかなり重宝 するでしょう。
ただ、まだ自動ブレーキといっても急ブレーキは無理とかもあるので、交通量の少ない高速道路であっても完全には車には任せ切れない状況です。
しかし大半を車がやってれることでドライバーが行う作業が極端に少なくなるり。眠くなったりもするでしょうし緊急時の咄嗟の対応などを考えると、まだまだ危険な感じがしますね。
私はあくまで自分で運転していたい派なのですが、任せるのであればそのときは完全に任せてしまいたいです。
技術面、コスト面、法律面と様々な問題はあるのでしょうが、そこまでの急速な進歩を望みます。
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