じゃらん悪用の電子計算機使用詐欺罪とは?事例紹介

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宿泊予約サイトの〝じゃらん〟の新規会員向けポイントサービスを悪用し現金を騙し取ったとして、〝電子計算機使用詐欺罪〟で2人の男が逮捕されましたね。

ところで、この〝電子計算機使用詐欺罪〟って余り聞き慣れない罪名ですが、どのような場合に適用されるのでしょうか・・・。
今回のニュースを交えつつ、少し掘り下げて見て行きましょう。

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じゃらん悪用の電子計算機使用詐欺

最近では旅行をする場合〝じゃらん〟であったり〝るるぶ〟であったり〝楽天トラベル〟であったり、何かしらの宿泊予約サイトを利用する人が増えています。
利用者が増えているのは、簡単に条件にあった宿泊先を探して比較出来ることにくわえ、ポイントを貰えたり割り引きがあったりすることも大きな要因です。

そして、今回の〝じゃらん〟の事件もポイントサービスを悪用したものでした。
じゃらんのニュースの概要はこんな感じです。

〝じゃらん〟では、新規会員になると1,000円相当のポイントがもらえ、そのポイントは宿泊の際に使用することが出来ます。
その1,000円分は、じゃらんが宿泊先に支払うという仕組みです。

この仕組みを利用し、不当に現金を手に入れる目的で、沖縄でゲストハウス(簡易宿泊所)を経営している男と宮崎県の男が手を組みました。
この2人は知人であったようです。

大まかな流れはこんな感じです。

①宿泊客約の男がじゃらんに新規会員登録し千円相当の1000ポイントをゲット。
これを、複数のメールアドレスを駆使し、大量に実施。
   ▼
②じゃらんを通してゲストハウスの宿泊予約をするが、実際には宿泊はしない。
 これを、複数のメールアドレスを駆使し、大量に実施。
   ▼
③ゲストハウスの男がポイントを使用して宿泊したとの嘘の報告をじゃらん側に送信
   ▼
④じゃらんからゲストハウスの男に、報告の人数分×1,000円の入金
これを、昨年の4月から6月にかけて3,033回くりかえし、総額303万3000円を騙しとったというものです。
しかも昨年の4月~6月だけではなく、3年くらい前から始めて2,000万円以上を騙し取ったと供述しているようです。

まぁ、ここの行為に〝電子計算機使用詐欺〟という罪が適用されたわけですが、詳しくは後ほど。

じゃらん側は、不正に気づいた昨年9月、警視庁に被害を相談していたとのことですが、その沖縄のゲストハウスは、近隣の人の話では、宿泊客も余りいなかったようです。
そこまで被害が出ないと、じゃらん側は気付かないもんなんですかね?
なんか、そんだけの宿泊(ウソの)があったから、人気の宿な感じで1位として紹介されてたようですし・・・・
他のゲストハウスやユースホステルとくらべて、かけ離れていなかったのでしょうか?

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電子計算機使用詐欺罪とは?

それでは、じゃらん事件で適用された〝電子計算機使用詐欺罪〟について、詳しく見ていきましょう。

まずは条文を、普通の詐欺罪とともに記載しておきます。

第三十七章 詐欺及び恐喝の罪
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(電子計算機使用詐欺)
第246条の2 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

刑法第246条の2電子計算機使用詐欺の罪は、〝246条の2〟といういびつな条項数を見れば分かるように、後から付け足された条文です。
ちなみに〝電子計算機〟とは「制御装置・演算装置・記憶装置・入出力装置から成り、プログラムにより複雑なデータ処理が電子的に高速で行える計算機。」つまり、コンピュータのことです。

電子計算機使用詐欺罪が出来たきっかけは、1980年代に偽造テレホンカードによる通話が社会問題となって1987年に出来たものでした。
テレホンカードなんて、今の子は知らんのですかね~(๑′ᴗ‵๑)

偽造テレホンカードによる通話、つまりこれは詐欺行為ではあるのですが、刑法246条の詐欺罪の構成要件を満たしません。
刑法上の罪を適用するには、構成要件を満たさなければならないのです。

詐欺罪を適用するには、以下の一連の流れを証明する必要があります。

① 欺罔(ぎもう)
 人を欺き、騙すこと。
② 錯誤(さくご)
 事実と思っている事が違っていること。①の欺罔によって②の錯誤に陥る必要がある。
③ 交付行為
 騙されている側の意思で交付する必要がある。
④ 財産の移転
 財物、つまり金銭や品物や財産上の利益(※)が移転する必要がある。
※財産上の利益 → 財物以外の財産上の利益をいう。

上記の偽造テレホンカードの通話の場合、④の財産の移転が伴わないので詐欺罪にならないんです。
財産権の得喪や変更が電磁的記録(※)に基づいて自動的に処理される場合は、それが利益を得る行為であったとしても占有の移転が伴わないんですね。
また、そもそも①の「人を欺き、騙すこと」についても、相手が人ではないのでやはり詐欺罪の構成要件を満たしません。
※電磁的記録 ⇒ 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することのできない方式で作られた記録のこと。つまりデータを指す法律用語。

「そんな細かいこと、どっちでもえーんちゃうの?」と思われるかもしれませんが、もし、刑事罰を行使する側(国家)が、好き勝手に刑事罰を行使すれば、国民の権利を不当に害する事になるので、ルール(法律)を定めて厳格に運用しなければならないという趣旨があります。
これを〝罪刑法定主義〟と言います。

まぁ、だから法の抜け穴的なものが生まれてきます。
で、世の中が変わり、法律で捌けない内容が出来てくれば、新たな法律を作るわけです(出来るまでのスピードの問題はありますが・・・)。
そういった理屈もあり、刑法第246条の2電子計算機使用詐欺の罪は、新たに付け足されたんですね。

話は戻って、じゃらん事件ですが、これも関節的には運営側のじゃらんの人を騙しているわけですが、直接的には人を騙しているわけではありませんので、やっぱり詐欺罪は適用されず、電子計算機使用詐欺罪になるわけです。

ちなみに、電子計算機使用詐欺も詐欺も公訴時効は7年です。

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電子計算機使用詐欺罪の事例紹介

それでは、過去に電子計算機使用詐欺罪の有罪判決を受けた事件にどんなものがあるか、大まかにいつくかご紹介します。

●他人のクレジットカードを用いて、ネット上で他人名義にて電子マネーを購入。

●銀行の女子行員が、オンラインシステムの端末を操作し、自分の預金口座に振替入金があったとする虚偽の情報を与え、口座の預金残高を書き換えた。

●電子決済システムの振込みサービスを利用し、架空の振込入金の情報をコンピュータに入力した。

●残度数を改ざんしたパッキーカードをパチンコ店のカードユニットに差し込み、不正にパチンコ玉やスロットのメダルを入手し遊戯をした。

●入場情報がない回数券を自動改札機に入れ、有効区間内の自動改札機の無い駅から入場したと読み取らせ、実際の乗車駅とは違う入場情報の乗車券を自動精算機に入れて入場したと読み取らせていたキセル行為。

●電話会社の電話交換システムに対し、パソコンから不正信号を送信し、電話料金相当額の支払いを免れた。

●ETCシステムを悪用し、実際の走行車両よりも安い通行料金の適用となる車両の情報が登録されたETC車載器を取り付け、本来支払うべき通行料金の支払いを不正に免れた。

●障害者手帳を持つ親族の名義で情報登録されたETC車載器及びETCカードを使い、障害者本人が運転も同乗もしていない状態で、有料道路を利用することにより、障害者割引を適用させ、本来支払うべき通行料金を不正に免れる行為を繰り返した。

まとめ

  • じゃらんの新規会員向けポイントを使用し、空宿泊をして現金を騙し取った事件の容疑者は、電子計算機使用詐欺罪で逮捕された

  • 電子計算機使用詐欺罪は、詐欺罪では立件出来ないコンピュータを使った犯罪等を立件するために1988年に新設されたもの

  • コンピュータを使った詐欺では、詐欺罪の構成要件の一つである人を騙すという行為が無いので立件不能だった
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