マイナンバー法の罰則|会社や個人事業主が気を付ける事は?

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マイナンバー法の本名は〝行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律〟と言います。
そして、このマイナンバー法の罰則は非常に重たいと言われています。

そこで、どのような行為に対して罰則が規定され、どのような刑罰が科される可能性があるのかを見ていきましょう。

目次

マイナンバー法の罰則規定一覧

第48条 特定個人情報ファイルの不正提供

罰則 4年以下の懲役 若しくは 200万円以下の罰金 又は これを併科

特定個人情報ファイルとは、マイナンバーの記載のある個人情報のファイル(集合物)のことです。
これらを、正当な理由なく誰かに提供、つまり渡してしまう罪です。
あくまで故意的な行為であり、過失による漏洩とは別物です。
行為の悪質性、想定される被害の大きさなどから、マイナンバー法中、最も重たい法定刑となっています。

第49条 個人番号の不正提供、盗用

罰則 3年以下の懲役 若しくは 150万円以下の罰金 又は これを併科

特定個人情報を提供する行為は67条で規定されていますが、ファイル化されていないマイナンバーの場合は、こちらが適用されます。
不正提供とは例えば、反社会的勢力に売却して利益を図ったりする事が考えられます。

第50条 情報提供ネットワークシステムに関する秘密漏洩

罰則 3年以下の懲役 若しくは 150万円以下の罰金 又は これを併科

情報提供ネットワークシステムとは、マイナンバーと関連づけられた個人情報を関係機関の間でやり取りするためのコンピューターネットワークによる情報システム。
総務大臣が設置・管理します。

第51条 詐欺行為等による情報取得

罰則 3年以下の懲役 又は 150万円以下の罰金

詐欺や窃取などは、マイナンバー法だけでなく、刑法上の詐欺罪や窃盗罪にも該当してきます(いずれも10年以下の懲役)。
1つの行為で複数の罪が成立すると、重いほうの罪の刑で処断されます。
この関係を観念的競合と言います。

第52条 職権濫用による文書等の収集

罰則 2年以下の懲役 又は 100万円以下の罰金

本条の対象者は、国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人の役員や職員です。

第53条 命令違反

罰則 2年以下の懲役 又は 50万円以下の罰金

特定個人情報保護委員会が法令違反行為をした者に対して行った勧告、命令に従わなかった場合。

第54条 検査忌避等

罰則 1年以下の懲役 又は 50万円以下の罰金

特定個人情報保護員会の求める検査に対して、報告や資料の提出をしなかったり、虚偽の報告や資料の提出をしたり、虚偽の答弁をしたり、検査を拒んだり、妨げたり、忌避した場合。

第55条 通知カード及び個人番号カードの不正取得

罰則 6月以下の懲役 又は 50万円以下の罰金

他人になりすましてその人の個人番号カードを取得したり、虚偽の請求事由を記載して個人番号の再交付を受けたりした場合など。

第56条 国外犯

48条~52条までは、日本国外でこれらの罪を犯した者にも提供されます。

第57条 両罰規定

48、49、51、53、54、55条は、直接の違反者を罰する他、その事業主体である法人等も罰金刑が科されます。

会社や個人事業主として気を付けることは?

上記の罰則規定を、読んでみてお気づきの方もいるかとは思いますが、マイナンバー絡みで事業者に刑罰が科されるのは、あくまで、故意に、つまり意図的に行った場合です。

ですから、過失によって、つまり、うっかり漏洩してしまった場合に、罰則が適用されるわけではありません

しかし、罰則がないからといって、マイナンバーの厳重な管理を怠り、漏洩してしまった場合、刑事上の罰則はなくても、民事上で損害賠償請求を受ける可能性はありますし、社会的信用は落ちるでしょう。
そして、特定個人情報保護員会からの検査等にちゃんと応じなければ、刑罰適用の可能性も出てきます。

個人情報には非常にシビアな現代社会です。
それが、さらにシビアになったと思って頂ければ良いと思います。

まずは、マイナンバー制度開始に向けて、準備を進めていきましょう。
準備については、後日、記事をアップしたいと思います。

アップしました。
小さな会社のマイナンバー準備|記載が必要な書類|管理方法

まとめ

  • マイナンバー法の正式名称は〝行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律〟という
  • マイナンバー法には刑罰規定がある

  • マイナンバー法で最も重い刑は、特定個人情報ファイルの不正提供で4年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金で、これが併科されることもある

  • マイナンバー法には重い刑罰があるが、あくまで故意犯などに対するもので、うっかり漏洩した場合などに適用されるものではない
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