暑くて、暑くて仕方ない季節に突入していますが、暑さの他に何とかして欲しいのが〝ゲリラ豪雨〟って呼ばれてるあの突然の大雨です。
天気予報関係なしだし、もう降ってきたと思ったら一瞬でびっちゃびちゃだし・・
そもそもゲリラ豪雨って何なんですかね?
昔からありましたっけ?
これって夕立?
日本が熱帯化してきてるからスコールじゃないの?
目次
ゲリラ豪雨って何?原因は?
〝ゲリラ豪雨〟とは、気象学的に明確な定義付けはありませんが、 予測困難な、都市部や都市近郊の限られた場所で、短時間に発生する猛烈な集中豪雨 といったとこで、おそらく日本だけの現象名です。
雷を伴うことも多いことからゲリラ雷雨などとも呼ばれたりします。
気象庁は予報用語としてこの〝ゲリラ豪雨〟という言葉を使っていませんが、荒天が多発した2008年夏頃より、マスコミや民間気象会社が多用するようになり、その年の「新語・流行語大賞」にノミネートされるなどしたことから、広く一般に浸透しました。
この2008年の7月下旬から8月にかけては、ゲリラ豪雨等の局地的な大雨により、全国各地で大きな被害出ました。
神戸の都賀川では一気に増水して児童を含む5名が亡くなるという事故があった事も記憶に新しいです。
ゲリラ豪雨と言う言葉が広く使われ出してからまだ10年も経ちません。
しかし、このような雨が昔は無かったのかというとそんなことはありません。ただ、近年はその数が急増しているのでしょう。
それでは、何故ゲリラ豪雨が近年急増しているのでしょうか?
どうもはっきりとしない部分はあるようなのですが、その原因は、都市部のヒートアイランド現象と複雑な気流によるところが大きいようです。
都市部では、大量の廃熱やアスファルトとコンクリートで覆われた地表の温度が簡単に高い温度になる事、それと高層ビル郡により気流が複雑な流れになることによって、局部的に非常に強い上昇気流を生み出します。
これによって地表近くの高温で湿度の高い空気が、急激に上昇することにより、気圧の低下と温度の低下が起こり、急激に雲を発達させ、ごく短時間で巨大な積乱雲になり、ゲリラ豪雨が起こるという仕組みです。
そして、雨が多量に降ることによって地表温度が急に下がると、ごく短時間のうちに消えてしまうと言う特性もあります。
平成17年の気象庁長官の国会答弁で、以下のような発言がありました。
「時間当たり80ミリの雨量についても数字を申し上げますと、昭和51年以降10年刻みで平均をとりますと、毎年13回、15回、22回と、時代を追って数がふえております。この傾向は特に近年顕著でございます。」
分かりやすくすると、1時間当たりに80mm以上の多量の雨が降った回数が以下のような感じってこと。
● 昭和51年(1976)~昭和60年(1985) 13回
● 昭和61年(1986)~平成07年(1995) 15回
● 平成08年(1996)~平成18年(2006) 22回
つまり、ゲリラ豪雨が多発しだした印象のある2008年以前においても、少しずつそのような集中豪雨は増えてきていたということです。
ただ、現在はこれと比べものにならないくらい増えています。
気象庁によれば1時間降雨量が80mm以上の雨は〝猛烈な雨〟とされており、「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる。傘は全く役にたたない。水しぶきであたり一面が白っぽく視界が悪い。車の運転は危険。雨による大規模災害の発生するおろれが強く厳重な警戒が必要。」などと説明されています。
ちなみに、下水管から雨水があふれるのは30mm以上、マンホールから水が噴出するのは50mm以上です。
ゲリラ豪雨とスコールの違い
世間では地球温暖化、地球温暖化と騒がれています。
実際、日本での近年の暑さは昔とは違いますが、私は地球温暖化キャンペーンについては、〝?〟なところが多々あります。
いきなり話はそれてしまいましたが、つまり昨今、やれゲリラ豪雨だ、ゲリラ雷雨だと騒がれている集中豪雨は、地球温暖化により日本が熱帯化してきていることから起こっている、いわゆる〝スコール〟なんじゃないの?って意見があります。
これ、どうなんでしょうか?
スコールって皆さんどんな印象ですか?
暑い国で、一気に降る半端ない土砂降りの雨って感じじゃないですかね?
なるほど、だったらゲリラ豪雨と同じようなものかもですね?
けど、 スコールって実は雨ではなく風が主体 なんです。
実はゲリラ豪雨と違って、スコールはしっかりとWHO(世界気象機関)によって「毎秒8m以上の風速増加を伴い、最大風速が11m/秒以上で、1分以上継続する。」と定義付けがされています。
ちょっと意味が分かり難いですが、つまりスコールとは「激しい天候変化(豪雨、落雷あるいは大雪など)」を伴う急激な風速の増加現象」、もっとかみ砕いて言うと「突発的な風の強まり」のことの事を言います。
決して、 大雨の事を言うのではないんです ね。
ただ、通常このスコールには、強い降雨を伴いますので、皆さんの印象するスコールはおそらくスコールに違いはないんだと思います。
ただ、そこに雨が降っていなくてもスコールってこともあれば、土砂降りの雨であっても、風の具合によってはスコールではないということです。
以上からも、ゲリラ豪雨とスコールは別物です。
ゲリラ豪雨と夕立の違い
気象学的には夕立という独立した現象があるわけではなく、驟雨(しゅうう)、にわか雨、雷雨、集中豪雨といった現象のことを言います。
ただし、その発生する時間帯が昼過ぎから日没後数時間までのものを言い、時期的には梅雨明け頃から秋雨が始まるまでの暑い時期、つまり夏場の晴れ間の多い時期に発生するものです。
このような特徴はゲリラ豪雨と似たものであり、つまりはゲリラ豪雨とは夕立のことであるという意見もあります。
また、ゲリラ豪雨とは気象庁の予報用語としては 〝使用を控える用語〟 とされていますが、夕立は正式な予報用語ではないものの、 〝解説用語〟 という枠組みで「気象庁が発表する報道発表資料、予報解説資料などに用いる用語」とされています。
さて、夕立とゲリラ豪雨は似た現象であることは分かりました。
では、その発生原因はどうなのでしょうか?
実は、この発生原因も同じようなもんなんです。
では、何故、名前が違うのか!
それは、一言で言えば、 〝降水量〟が全然違う んです。
もう、勢いが全く違います。
昔から言われる夕立とは、せいぜい数10分で止んで、とても暑かったところにおしめりを与えてくれたって感じで、風情のあるものでした。
当然、災害とは縁遠いものです。
一方、ゲリラ豪雨は、夕立というイメージの雨よりも全然激しい1時間に100mmを超えるような雨もあり、それが1時間以上も続いたりします。
結果、災害を引き起こし、風情なんてものはかけらもありません。
夕立とゲリラ豪雨は同じくくりなのですが、横並びで作られた気象用語ではありませんので、線引きが出来ません。
ですから私は、夏の暑い午後に〝涼〟を運んでくれる印象の、風情ある一過性の雨を〝夕立〟といい、風情のかけらもない〝災害〟をもたらしそうな、激しい大雨を〝ゲリラ豪雨〟と呼ぶことにしました。
感覚的なものですので、やはり線引きはありません。
人それぞれ感じかたも違うでしょうしね(^^)
ただ、今後どんどん〝夕立〟風の雨は少なくなり、〝ゲリラ豪雨〟風の雨がどんどん増えていけば、〝夕立〟という言葉はなくなってしまうかもしれません。
また、日本から一つの風情が消えていくことになりますね。
以上からも、ゲリラ豪雨と夕立は似て非なる物です。
●ゲリラ豪雨の他に、最近はこんな豪雨も多くなってます
⇒ 記録的大雨!線状降水帯
●ゲリラ豪雨後の土砂災害に気をつけて!
⇒ 土砂災害警戒情報って警報なの?どうすればいい?警戒区域はどう調べる?
●河川氾濫で車が水没してしまったら?
⇒ 車が水没したら保険は効くの?廃車?修理可能?浸水時の走行方法
●大雨警報について書いてます
⇒ 晴れてるのに大雨警報が解除されない 全く降ってないのに発令された
コメント
ゲリラ豪雨の事は、とてもわかりました。
by 梶原りおん 2015-11-29
>梶原りおんさん
良かったです(^^)
by sanmon 2015-11-29
初めまして、コメント失礼致します。
気象用語集に載っているので、夕立は気象用語だと思われます。にわか雨の一種で、おこる時期、時間帯を定義したものとして使用されているそうですよ。ちなみに朝立という言葉もあるそうですが、そちらは一般的ではないため気象用語ではないそうです。
余計なお世話でしたら申し訳在りません。もしよろしければご確認ください!
by S 2017-05-17
>Sさん
コメントありがとうございます(^^)
気象用語と言いますか、気象庁の予報用語としては夕立は正式な用語ではなく解説用語という枠組みに入ります。
紛らわしい表現と思われる部分を一部修正しておきましたm(_ _)m
by sanmon 2017-05-17
授業で「スコール」が、でたのでゲリラ豪雨と何が違うんだろう?、と思い検索してみました。とてもためになりました。ありがとうごぜえました。
by 匿名 2020-06-24